【個人事業主】複数の事業の開業届や確定申告の方法は?

個人事業主として、新しい事業を始めるとき一つの事業だけでなく、他にも収入の柱になる事業を考えている人も多いと思います。
実際に、下記のように複数の事業を運営している個人事業主の方々もいるのです。
- カフェを経営しながら、マフェリエイトブログを使って、お店や食器・食材の紹介をする
- 弁護士をしながら、持っている土地を駐車場として貸出をする
このように複数の収入源がある場合、個人事業主として開業届や確定申告はどうすればいいのでしょうか。
Contents
個人事業主は複数の事業を持てる?

まずは個人事業主についてから紹介します。
個人事業主とは

個人事業主とは、開業届を税務署に提出して、個人で仕事をしている人の事を言います。
開業届とは、正式名称を「個人事業の開業・廃業等届出書」といい、事業を始めるときに提出する書類です。
この開業届を提出する時に、事業内容を記載する欄があります。
事業によって納める税金の税率が変わるので、事業内容の申告が必要です。
確定申告も自分でおこなわなければなりません。
個人事業主は事業を複数できるの?

個人でお仕事をしている個人事業主は、一つの事業だけでなく、複数の事業を運営することが可能です。
一つの事業で、しっかり実績を出せれればいいのですが、収入の柱が一つでは心もとないと感じる場合は、複数の事業を運営しておくと安心ですよね。
個人事業主が複数の事業を運営する場合の開業届の提出方法

個人事業主は、開業届を税務署に提出して、事業を始めますが、複数の事業を始める場合は、開業届は事業ごとに提出しなければならないのでしょうか。
開業届の「屋号」について

開業届は、事業の開始の報告とともに、「屋号」を記載します。
この屋号は、お店の名前の事です。
個人事業主の場合は、つけてもつけなくてもいいので、あまり問題ではありませんが、屋号が必要な事業を始める場合もありますよね。
屋号を付けたい例として、下記の2つのパターンがあります。
- 最初は一つの事業だけでスタート(後から追加で事業を始める)
- 最初から、複数の事業を始めることが決まっている
この場合の対応は、下記のようになります。
最初は一つの事業のみだが、後から追加の事業を始める場合

開業届を提出して、その後に新しい事業を始めたいと思った場合です。
屋号が必要な場合は、もう一度、開業届を提出しましょう。
屋号が必要でない場合は、提出する必要はありません。
最初から複数の事業を始めることが決まっている場合

開業届を提出する時に、事業ごとに屋号をつけたい場合は、屋号名が決まっているならば、記載する欄に段を分けて記載します。
この場合の開業届は、最初の一回の提出分だけで大丈夫です。
確定申告の時に、新しい事業内容を記入すれば問題ありません。
個人事業主が複数の事業を運営する場合の確定申告の方法

個人事業主が複数の事業を運営している場合、確定申告はどうすればいいのでしょうか。
確定申告は、事業によって税率が変わるため、どのようにすればいいのか迷いますよね。
まずは先に、所得の種類を紹介しますね。
- 事業で発生した収入(事業所得)
- アフェリエイトやアドセンスの広告収入(雑収入・例外もあり)
- 土地・部屋などの賃料での収入(不動産収入)
他にもいろいろありますが、今回は上記をもとにして、考えてみましょう。
所得が事業所得のみの場合

事業を複数運営しているが、全ての所得が事業所得の場合の確定申告は、1部の確定申告書の提出で大丈夫です。
事業所得以外の所得もある

複数の事業を運営している場合は、その事業内容の所得によって申告が別になるので、もう1部用意しないといけません。
例外はありますが、事業所得と雑収入は、同じ確定申告の用紙で申請が可能です。
ですが、不動産(1部の雑収入)による所得は「分離課税」の対象となるため、他の用紙での提出が必要になります。
確定申告の時に提出する書類は、複数枚ありますが、課税される所得の種類によって、提出する用紙の枚数が増えるので、注意が必要です。
個人事業主が複数の事業を営む場合の決算書の作成方法

決算書とは、1年ごとに経営や財務の状況をまとめた書類です。
企業の場合、この決算書をもとに来期の事業計画を立てていくので、とても重要な書類と言えるでしょう。
個人事業主の場合でも同じなので、しっかり作成しておく必要があります。
事業の所得が事業所得のみの場合

事業の所得が、事業所得のみの場合は、全ての事業内容を盛り込んだ決算書を一部作れば大丈夫です。
事業所得以外の所得もある場合

確定申告の時にも、事業所得と雑収入以外の所得である、不動産所得は別の用紙が必要とご紹介しました。
決算書の場合も不動産所得がある場合は、「不動産所得用」という書類がありますので、分けて記載する必要があります。
個人事業主が複数の事業を営む場合の収支管理方法

個人事業主が複数の事業を営む場合の収支管理方法として、おすすめは「会計ソフトを利用する」ことです。
個人事業主となれば、自分で財務管理をしなければなりませんが、すべての個人事業主に、経理(簿記)の知識があるわけではありませんよね。
税金のプロである税理士にお願いすることが一番のおすすめですが、事業を始めたばかりだと、予算に余裕がない場合もあります。
会計ソフトを利用すれば、確定申告で必要な書類の作成もスムーズにできますし、月々の金額もそこまでかかりません。
個人事業主が複数の事業をおこなう場合のよくある疑問

個人事業主になるためには、開業届を提出することが必要です。
でも、複数の事業で開業する場合は、迷いますよね。
そこで、個人事業主で複数の事業をおこなう場合の疑問をご紹介します。
Q1 複数の事業をする場合、屋号はどうすれば良い?

最初から複数の事業を始めると決めている場合は、開業届の屋号の欄の段を変えて、それぞれの屋号を記入します。
事業を後から追加して始める場合は、改めて開業届を出しましょう。
Q2 複数の事業を営む場合の消費税の計算方法は?

事業の種類によって売上を分けていない場合は、事業の中から最も低い「みなし仕入率」で計算します。
事業の種類ごとに売り上げを区別している場合は、事業の種類ごとに消費税額を計算して、事業ごとのみなし仕入率を使って計算します。
Q3 帳簿は事業ごとに別で作成するべき?

所得が事業所得と雑収入(一部を除く)ならば、一つの帳簿を作成すれば大丈夫です。
ですが「分離課税」の対象となる事業所得は、別の帳簿で管理して作成しましょう。
まとめ

個人事業主になるという選択をした場合、確定申告が悩みの一つではないでしょうか。
事業の内容によって、税率が変わりますから、会計ソフトを使っていても、不安を感じる場合もあるかもしれません。
確定申告の時期には、税務署で教えてもらうにも、慌ただしい雰囲気のため、なかなか相談にいけないこともあります。
そんな場合は、税理士をはじめとする専門家に、相談してみましょう。
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