【融資】担保と経営者保証の違い!経営者連帯保証の解除法
無担保で融資を受けられることは良いのですが、経営者保証と聞けば、担保があることと同じではないかと思う経営者も多いでしょう。
Contents
無担保なのに経営者連帯保証は必要か?
法人として、金融機関に融資を申請したら、無担保だけど信用保証協会付きの融資を指定されることがありますよね。
経営者連帯保証付きの融資です。
担保は必要ないのに、経営者連帯保証は必要なのでしょうか?
そもそも担保とは
担保とは、将来的に相手に不利益を与えないことを約束して、もしも不利益が起こってしまった場合に、その補填となる物を指します。
主に、不動産などの形があるもので、保護されて安全である状態に保たれているものが「担保」とされています。
担保と経営者連帯保証は意味が違う
無担保は、担保を必要としません。
経営者連帯保証は、経営者個人が連帯保証人になるということです。
この二つは、全く意味が違うため、無担保であっても連帯保証が必要なことがあります。
信用保証協会とは
信用保証協会は、中小企業を含む小規模事業者に、円滑に資金調達ができるようにと設立された公的な機関です。
金融機関は、将来的な見込みのある経営者にしか融資をしません。
この信用保証協会は公的な機関ですから、信用度もかなり高いのです。
金融機関は、実績のない経営者には信用保証協会付の融資を進めます。
金融機関が信用保証協会付の融資を進めるわけ
信用保証協会は、返済が難しくなった時に、代わりに残った返済金を金融機関に返済してくれます。
金融機関は、貸しているお金を全額回収することができるのです。
金融機関としては、信用保証協会付の融資は、必ず返済が約束されている融資なので、実績が少ない事業者にも安心して融資をすることができます。
信用保証協会を利用するときの流れ
信用保証協会付の融資は、金融機関だけでなく、実績の少ない事業者にも「融資を受けやすくなる」というメリットがあります。
下記が信用保証協会を利用する時の流れです。
- 信用保証協会・金融機関の審査
- 信用保証協会の審査が受かれば、金融機関から融資がスタート
- 返済開始
- 返済ができなくなった場合、信用保証協会が返済金を肩代わり
- 返済ができなくなった場合、信用保証協会に返済する
信用保証協会を利用する時の注意点
信用保証協会付の融資は、金融機関や新規事業者にとってメリットかもしれませんが、事業者にとってはデメリットが無いわけではありません。
返済金が無くなるわけではない
信用保証協会は、返済ができなくなった時に、立て替えてくれますが、返済金が無くなったわけではありません。
後日、信用保証協会から、立て替えた返済金の一括返済を請求されます。
審査がある
信用保証協会と金融機関に、それぞれ審査があります。
どちらかが受かったから融資がOKではなく、両方の審査に受からなければ、融資は実行されません。
債務免除(債務放棄)ができない
債務免除(債務放棄)とは、借りたお金を返さなくても良いようになる事です。
信用保証協会が立て替えたお金は「税金」なので、債務免除を受け入れる可能性はかなり低くなります。
経営者連帯保証の縛りとは?
経営者連帯保証の縛りは、どのようなものになるのか気になりますよね。
経営者個人の自宅や土地に影響が及ぶなら、担保と同じで、無担保にする意味がないと思ってしまいます。
経営者が返済できなかった場合は?
事業者(会社)が返済できなくなった場合、保証人が返済しなければなりません。
さらに保証人が返済できない場合は、保証人が持っている不動産を、裁判にかけて確定判決を受けた後に、競売にかけられます。
担保がある場合は?
担保として不動産を指定している場合は、裁判しなくても競売の手続きにかけられます。
延滞が6ヵ月ほど続いた場合に、競売手続きを始めるので、金融機関からすれば、裁判の手間が省けます。
不動産を担保にしないメリットは?
保証人にとって無担保は、大きなメリットになります。
それは、不動産を自由に売却できるからです。
支払いが困難になった場合、不動産を売ってしまえば、返済金にまわすことができますし、競売に掛けられて、安い金額で売りたたかれることもありません。
経営者連帯保証とは
経営者連帯保証とは、経営者が会社(事業)の連帯保証人になるということです。
事業(会社)の連帯保証人とは
連帯保証人とは、お金を借りた人(会社)に代わって返済をする人のことを指します。
金融機関は、会社と経営者が一体となって、融資の返済をする必要があると考えていますから、経営者に連帯保証人になるように求めるのです。
そのため返済ができなくなった場合、経営者に返済を求めます。
経営者保証は外せる?
経営者保証は、一定の条件をみたせば外すことが可能です。
経営者保証は、融資を受ける時によく設定されますが、経営者にもしもがあった場合、後継者や家族にとっては、自己破産になる可能性があります。
そのため経営者は、家族や後継者を守るため、経営者保証を外す努力をしてきましょう。
経営者保証に関するガイドライン(経営者保証改革プログラム)とは
ただ「経営者保証を外してほしい」と言っても、簡単にはできません。
そこで国から「経営者保証のあり方」について示されたガイドラインが作成されました。
経営者保証に関するガイドライン
金融機関は、このガイドラインに沿って経営者保証を外すかを検討していきます。
【経営者保証ガイドライン3要件】
- 法人と経営者が明確に区分・分離されている(資産・お金に関して)
- 法人のみの資産や収益で返済が可能か
- 金融機関に対して、随時適切に財務情報を開示しているか
経営者保証の3要件を満たしている場合
これから融資を受ける場合、経営者保証なしで融資を受けられ、すでに融資を受けている場合は、経営者保証を外してもらえる可能性があります。
経営者保証改革プログラムとは
経営者保証改革プログラムとは、経営者保証の解除をするかどうかを、事業者が選択できる制度です。
「経営者保証ガイドラインの3要件をみたしていれば、経営者保証を外す」という、経営者保証ガイドラインの取組を徹底させるため、経済産業省と金融庁・財務省が連携して取り組んでいるプログラムです。
経営者保証ガイドラインの3要件を満たしていなくても、具体的にどうすれば経営者保証を外せるかを金融機関から説明してもらい、記録に残すことができます。
足りない部分をみたせれば、経営者保証解除を金融機関にお願いすることができるでしょう。
融資は状況によって変わる
融資に関する疑問はいろいろと出てきますよね。
審査を通過させるだけではなく、事業を引き継ぐ時にも影響があります。
そんなときは、的確なアドバイスをしてくれる専門家と一緒に進めていくことが大切です。