創業融資を受けたい!自己資金はどれくらい用意すればいい?
金利が安く信頼できる金融機関から、開業資金を借りられる創業融資があります。担保が必要なく、万が一会社がつぶれても返済義務がない、という点も大きな魅力です。
元手が少ないからこそ利用したいものですが、審査が厳しいのではないかと心配される方も多いです。 その一方で、間違った情報を信じて、簡単に借りられると考える方もいます。
相談で特に多いのが、自己資金をどれくらい用意しておけば借りられるのか、ということです。
少ない元手でたくさん借りたいという希望はわかりますが、現実は厳しいものです。 この記事では、創業融資を借りる際にどれくらい自己資金を用意したらいいのかを、解説していきます。
100万円あれば1,000万円借りられる?
日本政策金融公庫の公式ページに「新創業融資」についての案内が掲載されています。
その中の「自己資金要件」の項目には、
「創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方」
引用元:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/04_shinsogyo_m.html
と書いてあります。
自己資金とは、自分が自由に使えて、誰にも返す予定のないお金のことを指します。親族や友人から借りてお金を集めても、いつか返すという約束があると、自己資金とみなされない場合もあります。
では、自己資金が100万円あれば1,000万円借りられるということでしょうか? 答えは「NO」です。
これは、あくまで創業融資に申し込むことができる最低限の条件です。審査の基準とは異なります。
開業をサポートするための貸し出しと言えど、開業したあともしっかり運営していけるという見込みがなくては、貸してもらえません。
どうして貸してもらえないの?
日本政策金融公庫の例ですと、国の機関のため、もともとの財源は税金です。
なぜ、新しく事業を始める方にお金を貸し出すかというと、ゆくゆくは大きな利益を出して、たくさんの雇用や日本全体の経済を発展させてほしい、という考えがあるからです。
つまり、せっかく資金を貸し出しても、すぐに廃業してしまう可能性が高い方には、貸し出せないということです。
誰にでも貸し付けていると、本来の意味で必要な人に資金が行き渡らなくなります。ある程度、基準を設けて見極めることは不可欠なことなのです。
事業を続けていく上で大事なことは、きちんとした計画です。自己資金が少ないのにたくさん借りたいという主張は、無計画と捉えられてしまい、結果として事業計画も信用できないと判断されてしまいます。
自己資金の目安はどれくらい?
日本政策金融公庫の公式サイトに「創業計画Q&A」というコーナーがあります。その中のQ4に、
「 自己資金はどれくらいあればよいですか? 」
という問いかけがあり、その答えとして、
「 一概には言えませんが、「2013年度新規開業実態調査」(日本政策金融公庫 総合研究所調べ)によると、創業資金総額に占める自己資金の割合は27%となっています。 」
自己資金以外には、金融機関等からの借入金が61%、親族が6%、その他が6%となっています。」
引用元: https://www.jfc.go.jp/n/finance/sougyou/sougyou02.html#q04
とはっきり書いてあります。
つまり、希望する融資額の3割くらいは自己資金がないと、貸すことができないということです。自己資金が100万円の場合、300万円くらいなら借りられるだろうという目安になります。
実際に日本政策金融公庫の担当者の方へ聞いてみましたが、サイトと同じく、やはり「3割ぐらいは用意していてほしい」と回答してくださいました。
どうしても大きい額が必要なとき
では、「すぐに開業させたいのに、どうしても自己資金が3割に足りない」という場合は、融資を諦めるしかないのでしょうか。
自己資金が3割ないと絶対に貸してもらえないということはありません。
実際、自己資金が1割しかないという申込み条件ぎりぎりの方がいらっしゃいました。しかし、希望額の融資を受けることができた、という例がたくさんあるのです。
なぜ借りることができたのでしょうか。 それは、貸し出しできるかどうかの審査が、自己資金のみで判断されるというものではないからです。
金融機関に対して「この人ならきっと成功する」と思ってもらえる根拠を、他のポイントで示すことができればいいのです。
融資を受けるために、創業計画書を充実させよう!
事業に成功するという根拠を、金融機関へ説明するのに重要なのが、「創業計画書」です。 この書類は、創業融資を申し込む時に必ず提出しなければならないものです。
他にも、根拠を具体的に示せる書類が用意できるのであれば、一緒に提出したほうがよいでしょう。
とはいえ、はじめて創業計画書を作るという場合は「何がポイントで、どのように書いたらいいか分からない」という方も多いのではないでしょうか。困ったときは、プロに相談することをおすすめします。
事業を起こすときは、何かと忙しいものです。借りられる手はどんどん活用していきましょう。