事業承継・引継ぎ支援センターとは?成功事例3選
経営者の高齢化が進み、同時に後継者不在の問題が深刻になりつつあります。
以前は家族や親族に会社を継ぐのが一般的でしたがそのような時代でもなくなってきました。
家族・親族に後継者がいなければ、経営者がとるべき選択肢は次のふたつです。
- 従業員に事業を引き継いでもらう
- 会社ごと誰かに買い取ってもらう
とはいえ、どちらにしてもすぐに後継者が見つかるわけではありません。
そこで経営者の悩みにこたえるべく、全国に設置されたのが事業承継・引継ぎ支援センターです。
ここでは事業承継・引継ぎセンターの詳細と、実際の事業承継の事例をご紹介します。
事業承継・引継ぎ支援センターが解決すべき課題
1995年からの23年間で、経営者の年齢分布の山は47歳から69歳に移動しています。
さらに、経営者の引退平均年齢は70歳前後となっており、多くの経営者にとって引退のタイミングが迫っているといえます。
しかし、2016年の中小企業庁の調査によると、60歳以上の経営者のうち約半数が事業を引き継ぎせずに廃業を予定しているとのことです。
そのうちの約3割が後継者不在を廃業理由として挙げています。
このまま多くの企業が廃業となれば、それまで企業が守ってきたノウハウや雇用が失われてしまうことになります。
そこで国が設置したのが事業承継・引継ぎ支援センターです。
中小企業の事業承継に関する相談に対応し、親族・従業員や第三者への承継をサポートしてくれています。
事業承継・引継ぎ支援センターの強み
事業承継・引継ぎ支援センターは事業承継に特化した国の機関です。
全国に設置されており、そのネットワークも活かしつつ、無料で専門家に相談でき、事業承継完了までのサポートも受けられます。
相談は無料!確かな実績あり
事業承継・引継ぎ支援センターは事業承継に関するあらゆる相談を無料で受けられます。
ゼロベースの相談から、すでに民間機関を活用してM&Aをすすめている場合のセカンドオピニオンとしても利用可能です。
これまでの相談者数は48,000人、実際に事業承継をおこなった件数は3,500件を超えており、確かな実績を備えています。
また、事業を譲渡する側の企業の約7割が小規模事業者であり、中小企業の事業承継に強みがあるといえるでしょう。
サポーターは事業承継のプロ
事業承継・引継ぎ支援センターでは、中小企業診断士や金融機関OBなど、事業承継のプロが相談に対応してくれます。
- 民間のM&A仲介会社や金融機関への橋渡し
- 譲渡の進め方のアドバイスや必要な書類の作成
- 後継者人材バンクを活用したマッチング
案件に合わせて上記のアプローチをおこない、最適な事業承継へと導いてくれるでしょう。
全国規模のネットワークで幅広くマッチングをサポート
事業承継・引継ぎセンターは全国に設置されています。
そのため、47都道府県のセンター同士で情報共有し、全国の事業者とマッチングが可能です。
また、弁護士や税理士といった専門家とも連携しているため、民間のM&A支援会社では難しいケースのマッチングも対応します。
事業承継・引継ぎ支援センターでできること
後継者不在の事業者においては事業承継計画の策定も重要なポイントです。
事業承継・引継ぎ支援センターでは、外部専門家とも連携しながら事業承継計画策定のサポートし、事業の課題の洗い出しや解決を支援します。
これらをおこなうことで、後継者にとっても会社を魅力的な状態に引き上げることができるのです。
事業承継・引継ぎ支援センターの利用対象者
事業承継・引継ぎ支援センターは後継者未定、または不在の中小企業・小規模事業者なら業種に関わりなく利用可能です。
譲渡する企業が見つからない場合はもちろん、譲渡先が決まっている場合でも相談可能です。
専門家の手を借りることで、トラブルになるリスクを下げることにもつながります。
事業承継は早めの準備・計画を始めることでスムーズに進められます。
まだ早いと思っても、引退・事業承継について考え始めたら相談してみてはいかがでしょうか。
事業承継の事例
ここからは具体的な事業承継の事例をご紹介します。
3つとも第三者への承継ですが、譲渡する企業と譲受する企業がお互いを信頼し、想いを受け継ぐ事業承継となっています。
老舗和菓子メーカー・株式会社恵比須堂
福井県の(株)恵比須堂の中道社長は60歳を過ぎて、体力の衰えとともにそれまでの「攻めの経営」ができなくなっていることを感じていました。
そこで地元の福井県事業承継・引継ぎ支援センターに相談していたところ、福井信用金庫からM&Aを検討している企業の紹介を受けます。
その企業の社長は30歳以上年が離れていましたが、誠実な人柄と、中道社長が社長になったときと同じ年齢ということもあり意気投合。
とんとん拍子に成約に至り、中道社長の希望であった従業員と商品を守りつつ、現在は新商品の開発もスタートしています。
伝統ある温泉宿・雲仙湯元ホテル
長崎県・雲仙地域で歴史を誇る雲仙湯元ホテルの加藤氏は、兄の体調不良をきっかけに社長に就任しました。
当時山積みだった経営課題を切り抜けたものの、後継者不在の問題は解決できず、長崎県事業承継・引継ぎ支援センターに相談します。
加藤社長は全従業員の雇用と全取引先の取引の継続、そして長崎県に本社のある企業への引継ぎ、「雲仙湯元ホテル」の名前を残すことを条件としていました。
そこで県内に本社を置きつつ全国にも展開する有力企業・株式会社メモリードが名乗りを挙げ、加藤社長の相談から約1年後、無事契約書を締結しました。
ホテルを譲り渡した加藤氏は、現在地域活性化につながる事業主を支援する新たなビジネスを立ち上げようと、さらなるチャレンジを続けています。
地元のインフラを支える大基通信システム
新潟県で社長夫婦と従業員1名という小さな内線電話工事会社、(有)大基通信システムは営業を一手に引き受けていた社長の急逝で、窮地に立たされてしまいます。
お客様と残された従業員のために、社長夫人であった平原氏は藁にもすがる想いで事業承継・引継ぎ支援センターに相談しました。
センター職員の畠山氏は業界への知識を深めるため、同業界の中堅企業である北陸電々の河内社長を尋ねます。
そこで河内社長が感じていた業界の課題と結びつき、通常のM&Aではなく、企業組合を結成することになりました。
業界内の高齢化が進む中で新しい手法により、人材不足の解消と従業員の雇用を守ったケースです。
事業承継を考えたら気軽に相談を
経営者の高齢化と後継者不足は深刻な問題です。
そのまま廃業することになれば、大事な経営資源を捨てることになってしまいます。
事業承継・引継ぎ支援センターは無料で専門家に相談できて、譲受先のマッチングから譲渡完了までしっかりサポートしてくれます。
「まだまだ先のこと」と思うかもしれませんが、事前に準備を始めておいて損はありません。
事業承継の可能性が思い浮かんだら、まずは気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
株式会社マイクリエイトは、中小企業庁が創設した「M&A支援機関に係る登録制度」において支援機関として登録されました。