コロナ融資の借り換えで金利0に!既往債務の借換制度とは?
新型コロナウイルス感染症の影響で、厳しい経営状態にある企業や事業者のために、さまざまな支援策が打ち出されています。
すでに日本政策金融公庫の【新型コロナウイルス感染症特別貸付】など、活用されている個人事業主のみなさんも多いことでしょう。
今回は、日本政策金融公庫や商工中金から融資を受けている事業者にとってうれしい制度「日本公庫等の既往債務の借換」をわかりやすくご紹介します。
経済産業省が、資金繰りに苦しむ事業者を支援するために設けた制度です。
ぜひ参考になさってください。
「日本公庫等の既往債務の借換」制度3つのポイント
「日本公庫等の既往債務の借換」とは、今までにすでに受けている融資を、実質無利子で借り換えができる制度です。
この制度を利用するには、新規の借入をすることが条件になります。
たとえば、すでに日本政策金融公庫から金利2.5%で1千万円を借りているとします。
ここで「日本公庫等の既往債務の借換」を利用し、【新型コロナウイルス感染症特別貸付】1千万円を新規で借りることにしましょう。
すると、現在すでに借りている1千万円と新規借入分の1千万円、合計2千万円をすべて無利子にすることができます。
金利2.5%で1千万円を1年間借りる場合、通常25万円の利子が発生します。
この年間25万円発生していた既往債務分の利子も、「日本公庫等の既往債務の借換」を利用することで削減できるのです。
ここからは「日本公庫等の既往債務の借換」制度について、3つの重要なポイントを解説していきます。
ポイント①既存債務の「借り換えのみ」はNG、「新規借入」が必要
「日本公庫等の既往債務の借換」制度は、既存債務(すでに借りているお金)の借り換えのみの利用はできません。
新規の借り入れをすることにより、既存債務の金利もゼロにすることができます。
対象制度は以下のとおりです。
日本政策金融公庫及び沖縄公庫 | ・新型コロナウイルス感染症特別貸付 ・新型コロナウイルス対策マル経融資 ・生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付 ・新型コロナウイルス対策衛経等 |
商工組合中央金庫等 | ・危機対応融資 |
ポイント②無利子になるのは3年間のみ
「日本公庫等の既往債務の借換」の制度を利用すると金利がゼロになりますが、これには期限があります。
無利子になるのは借り換えをしてから3年間です。3年後からは、基準利率にもどります。
たとえば【新型コロナウイルス感染症特別貸付】の基準利率は、2020年11月1日時点で1.26%~1.65%です。(基準利率には変動があります。)
「3年経ったら無利子ではなくなる」ということを頭に入れておきしょう。
ポイント③最長5年の返済据え置き期間
「日本公庫等の既往債務の借換」制度のメリットは、3年間の無利子期間だけではありません。
最長5年間の返済据え置き期間が設けられています。
たとえば、3年間の据え置き期間が認められると、3年分の利子の支払いも削減できるということです。
金利2.5%で1千万円を3年間借りた場合、通常75万円の利子が発生します。
「日本公庫等の既往債務の借換」制度を利用すれば、据え置き期間分の利子75万円の支払いも免除されることになります。
「日本公庫等の既往債務の借換」の対象者とは?
ここで、「日本公庫等の既往債務の借換」制度を利用できる対象者について、まとめておきましょう。
以下の3つの条件を満たし、新規に融資を受けることによって、既往債務・新規借入を実質無利子にすることができます。
- 日本政策金融公庫等からの借入金がある
- 最近1か月の売上高が、前年または前々年の同月比で5%以上減少している
- 新規借入金と借り換えをする既往債務の合計額が4千万円以下
コロナ融資の借り換え制度を積極的に活用していきましょう!
今回は、コロナ融資の金利支払いをゼロにする方法をご紹介しました。
たとえば、金利の話だと、マンションローンを借り換えて金利が低くなる、ということはよく聞かれるかもしれません。
しかし、「日本公庫等の既往債務の借換」制度を利用すれば、低金利になるどころか、金利はゼロになります。
今は差し迫って新しい融資を受ける状況ではないとお考えの事業者のみなさんも、ぜひ検討されてみてはいかがでしょうか?
新しく受けた融資だけでなく、既存債務の金利もゼロになります。
さらに3年間分の利子が免除され、最長5年の返済据え置きが認められる可能性もあるのです。
資金繰りが厳しい場合、相当な助けになるのではないでしょうか。
新型コロナウイルスは、未だ収束の気配を見せません。引き続き、支援策が打ち出される可能性もあるでしょう。
自分に合った制度がわからない場合は、専門家に相談してアドバイスを求めてみるのも良いですね。
役立つ制度や支援策を積極的に活用し、大切な事業を守り育てていきましょう!