銀行に融資を断られたときに実行する!たった1つのこと
融資を受けることは資金調達の大切な手段の一つです。
しかし、銀行から融資を断られてしまうこともあります。担当者からは「総合的に判断して今回のご融資は…」と、なんとも歯切れの悪い説明を受けることもしばしばです。
そんなとき、必ずしておかなければならないことがあります。
それは「融資を断られた理由を確認すること」です。
今回は、銀行から融資を断られたときに「なぜ理由を確認するのか」「理由を聞き出す方法」を解説します。
Contents
銀行に融資を断られたら必ず理由を確認しましょう
決算書が良くなかったのか、経営計画書や資金の使い道が納得できなかったのか、銀行が融資を断る理由はさまざまです。
どんな理由であったとしても、審査に再チャレンジするためにはその理由をはっきりさせなければ、どう改善すればいいのかわかりません。理由がわからないままでは、何度チャレンジしても無駄足になりかねないのです。
逆に理由がわかれば、次の審査で融資を受けられる可能性が高まります。
経営に不可欠な資金を調達するためにも、融資を断られた理由はしっかり確認しましょう。
銀行から融資を断った理由を聞き出す方法
銀行に対してやみくもに「理由を教えてください!」といっても、教えてくれないこともよくあります。
銀行が理由を教えてくれないのは、いくつか事情があります。
一つは、銀行ごとに独自に決められている融資の審査基準がわかってしまうからです。
審査基準は極秘の部分もあります。むやみに融資を断る理由を説明して、それが公になってしまうのは銀行にとって困ることなのです。
もう一つは、断った理由の部分だけ解決すれば融資が通ると思われてしまう可能性があるからです。
融資を断る際にはさまざまな状況が絡み合っていることも多いです。また、次回審査するときに状況が変わっているということもありえます。
にごした表現に聞こえる「総合的に判断して」という言葉にも、間違いはないわけです。
とはいえ、まったく教えてもらえない状況では、こちらも対策のしようがありませんよね。
そんなとき、銀行から断られた理由を聞き出せる魔法のキーワードがあります。
それは金融庁が出している「中小・地域銀行向けの総合的な監督指針」です。
この指針では、銀行は融資を断る理由を顧客、つまりあなたに説明しなければならないことになっています。
「中小・地域銀行向けの総合的な監督指針」とは?
なぜ銀行は、融資を断る理由を説明しなければならないのでしょうか。
「中小・地域銀行向けの総合的な監督指針」の具体的な内容を確認していきましょう。
「中小・地域銀行向けの総合的な監督指針 令和2年5月」
「II 銀行監督上の評価項目」
「II −3 業務の適切性」
「II −3−2 利用者保護等」
「II −3−2−1−2 主な着眼点」
(5)取引関係の見直し等の場合の対応
②顧客の要望を謝絶し貸付契約に至らない場合
の部分です。
項目名が長くて目が回りそうになりますが、その項に書かれているということがわかればとりあえず問題ありません。
全文については、以下の金融庁のホームページをご確認ください。
https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/chusho/02b.html
ひとつずつ中身を見ていきましょう。
(太字部分は「中小・地域銀行向けの総合的な監督指針」より引用しています。)
顧客の要望を謝絶し貸付契約に至らない場合
これは、事業主であるあなたが融資を望んだにも関わらず、それがかなわなかった場合、ということですね。
これまでの取引関係や、顧客の知識、経験、財産の状況及び取引を行う目的に応じ、可能な範囲で、謝絶の理由等についても説明する態勢が整備されているか。
銀行は、融資を断る理由を説明する対応ができるようにしておかないといけない、ということです。
例えば、長期的な取引関係を継続してきた顧客に係る手形貸付について更なる更改を謝絶する場合、信義則の観点から顧客の理解と納得が得られるよう、原則として時間的余裕をもって説明することとしているか。
今まで取引関係を築いてきた企業に対して融資を断る場合、その企業の理解と納得が得られるようにきちんと説明すること、ということです。
そのため、銀行は顧客であるあなたに融資を断る理由をわかるように説明しなければならないというわけです。
もし銀行から融資を断られ、理由を説明してもらえないときには、このように伝えてみましょう。
「金融庁が定める「中小・地域銀行向けの総合的な監督指針」には、融資を断る理由を顧客が納得できるように説明すること、と書かれています。私には説明していただけないのでしょうか?」
このように担当者に伝えれば、きちんと説明してもらえる可能性が高くなるでしょう。
それでも理由を教えてもらえなかったら?
残念ながら、それでも説明してもらえないこともあります。
そのときは、銀行へ「金融庁に『○○銀行に融資を断られたのですが、その理由を説明していただけませんでした。どうすればよいでしょうか?』と問い合わせてみます。」と言ってみましょう。
そこまで言えば、担当者も説明しないわけにはいかなくなるでしょう。
監督元である金融庁の名前を出すことは気が引ける、という場合もあるかもしれません。
しかし、断られた理由をきちんと確認できなければ、いつまでも融資を受けることができないままです。あなたの事業を守るためにも、ぜひ聞き出しましょう。
もし、銀行の担当者が経験の浅い方だった場合は、この「中小・地域銀行向けの総合的な監督指針」をご存じでない可能性もあります。その場合は「貸付担当役席」以上の方と話をすると良いでしょう。
「役席」とは銀行での役職名のことです。貸付担当役席は、貸付の部署の責任者です。
断られた理由を確認して、融資を受けられる可能性を高めましょう!
銀行から融資を断られたときには必ずその理由を確認しましょう。断られた理由がわからなければ、次回の審査に向けた対策ができません。
最初は説明してもらえないかもしれません。その時は「中小・地域銀行向けの総合的な監督指針」の名前を出して、根気よく説明を求めましょう。
それでも説明してもらえないときは、貸付の責任者である「貸付担当役席」へ話をし、金融庁の名前を出しましょう。
きちんと理由が確認できれば次に融資を受ける際に対策をたてることができます。審査に通って融資を受けられる可能性がぐんと高まりますよ!