融資を受けるなら団信は入るべき?自分で選ぶ判断ポイント
日本政策金融公庫の融資を受ける際に団体信用保険、いわゆる「団信」に加入するかどうかを確認されます。
そもそも団信とは何なのか、融資の可否に影響があるのか、加入する必要はあるのか、と分からないことだらけでお困りの場合もあるのではないでしょうか。
今回は団信とはどのようなものか、また団信に加入する判断基準についてご紹介します。
参考にしていただき、融資審査に向けて心配事を減らしておきましょう。
団体信用保険・団信とは?
団信は、お金を借り入れた事業主が死亡や高度障害などの理由で借金を返済できない状態になったときに、残りの借金を肩代わりしてくれる生命保険です。
高度障害とは、以下のような状態のことをさします。
- 両眼の視力を全く永久に失ったもの
- 言語またはそしゃくの機能を全く永久に失ったもの
- 中枢神経系または精神に著しい障がいを残し、終身常に介護を要するもの
- 胸腹部臓器に著しい障がいを残し、終身常に介護を要するもの
- 両上肢とも、手関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
- 両下肢とも、足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
- 1上肢を手関節以上で失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったかまたはその用を全く永久に失ったもの
- 1上肢の用を全く永久に失い、かつ、1下肢を足関節以上で失ったもの
視力や言語、手足の機能のいずれかを失った状態では、それ以前と同じように事業を続けることは難しいでしょう。そのような場合にも、契約した事業主に代わって返済してもらうことができます。
団信に加入することで、事業主に万一のことがあっても、従業員や遺された家族がお金の心配をしなくてすむという仕組みです。
団信の保険料はどのくらい?
団信の保険料は借入金額や返済期間、据置期間によって変わります。おおむね借入額の1%ちょっとが目安です。
100万円借り入れたら、1万数千円の保険料を払うことになると考えられます。
借入金の返済期間を通して支払います。そのため、100万円を5年の返済期間で借り入れた場合は、5年かけて保険料を支払っていきます。
一年間に払う金額はそこまで大きな負担ではないかもしれませんが、全体で見れば決して小さな額ではありません。加入するかどうかは、きちんと考えて決めるべきでしょう。
団信の加入は任意!融資審査への影響はなし
団信への加入は任意です。加入しなくても良いのです。
融資審査が不利になるのではないかと心配になる、というお声も聞かれます。
しかし、そもそも団信に加入するかどうかは、融資が決定したあとに案内されます。そのため、審査に影響することはありません。
実際、団信に加入する事業者の割合は50%を切るといわれています。もちろん、団信に加入しなかったからといって、融資を取り下げられたというケースもありません。
単純に保険商品として加入するべきかどうか、自分や事業にとって必要かどうかで判断しましょう。
団信に加入するべき?判断のポイント
団信に加入するかどうか、その判断基準はどこにあるのでしょうか。
第一に家族です。次に会社がどうなるかがポイントです。万一のことがあってあなたが死亡してしまった場合、家族のその後をイメージしながら考えてみましょう。
会社で融資を受けている場合
会社で融資を受けている場合、代表であるあなたが死亡しても、家族に借金の返済義務が相続されることはありません。
ただし、会社の借金は残ります。
借金さえなければ会社の存続ができ、加えて家族を支援してもらえる状況であれば、団信に加入しておくべきでしょう。
個人で融資を受けている場合
個人で融資を受けている場合、事業主の死亡に伴い借金も相続されてしまいます。
相続放棄もできますが、その場合は3カ月以内に煩雑な手続きをこなす必要があります。
バタバタしているうちにその期間を過ぎてしまい、家族が借金を背負うことになるケースも少なくありません。
高度障害状態になってしまった場合は、借金に介護の負担も重なり、家族は大変な苦労をすることになるでしょう。
個人で融資を受けるならば、団信の加入は積極的に考えてみても良いかもしれません。
団信以外の選択肢もある
生命保険は団信だけではありません。
すでに民間の生命保険に加入していれば、団信に加入しないことも一つです。
生命保険によっては、補償内容が充実している場合があります。また、年齢が若く健康であれば、民間の方が保険料が安く済むこともあります。
「融資を受けるなら団信」と安直に考えるのではなく、たくさんある保険商品のひとつとして他のものと比較してみるのが賢い選択といえるのではないでしょうか。
団信加入は絶対じゃない!融資前に考えておこう
団信とは何か、団信に加入するかどうかの判断ポイントをご紹介しました。
団信は事業主に万一のことがあった際、借金を肩代わりしてくれる生命保険です。
遺された家族の負担がどうなるか、会社の場合は事業継続していけるかなど、万が一の事態が起きたときを考えて加入を決めましょう。
加入はあくまで任意です。すでに他の生命保険入っていたり、目当ての保険があったりする場合は、無理に入る必要はありません。
ただし、団信は借入期間の途中から加入することができません。
加入するかどうかはぜひご自身の状況に合わせて、融資の準備をしている時点で検討しておくのがよいでしょう。