【融資】金融機関が欲しい情報とは?審査の流れをご紹介!
前期決算が赤字でも、融資が可能な場合もあります。
赤字なのになぜ?と思うかもしれませんね。
それは、事業者が金融機関に必要な情報を提供しているからです。
Contents
情報提供が融資の実行を左右する?
融資稟議書を作成するためには、必要な情報を事業者側からしっかり伝えなければなりません。
融資稟議書は、金融機関の担当者が、事業者からの情報をもとに作成します。
事業者側からすれば「金融機関も情報を持っているだろう・調べるだろう」と思っているかもしれません。
ですが金融機関の担当者は、稟議書を作成する以外にも、たくさんの仕事があります。
他の仕事もこなさないといけない担当者は、事業者が提供する情報以上の資料がありません。
情報が少なかったら、しっかりした書類は作れませんよね。
下記で融資審査の流れを紹介しますが、最初から十分すぎる情報があれば、稟議書の作成だけでなく、融資への取り組みの検討の時にも、有利に働きます。
ですので、融資を打診する時から、しっかりした情報を提供する必要があるのです。
金融機関における融資審査の流れ
金融機関の融資審査は、下記のような流れでおこなわれます。
- 事業者から融資の打診
- 担当者から上司に「融資の打診があった」と報告
- 上司が、融資に取り組むべきかを検討する
融資への取り組み決定がされると、下記の流れで進みます。
- 担当者が事業者に対して、稟議書作成に必要な情報の収集やヒアリング
- 集めた情報をもとに、その企業についての実態把握・分析
- 融資稟議書の作成
- 貸付担当責任者や支店長による店内審査
- 本部の審査部署による審査
(参照:近代セールス2022年11月1日号P10~P11)
融資の申請を打診する際に伝えるべき基本項目
融資を打診する際に、担当者に「○○を購入するために必要なので、〇月〇日までに○○万円を貸してください」と、簡単な情報しか伝えない取引先は少なくありません。
ですが、たったこれだけの情報だと、融資に取り組むべきかの判断ができませんよね。
早めの融資実行を希望しているなら、最初から十分な情報を提供する必要があります。
融資稟議書を作成する時の基本的な項目
情報が少ないと、融資の取り組みへの検討が難しくなるので、上司は担当者に「基本的な項目」を聞いておくように伝えています。
それは、下記の項目です。
- 金額
- 金利
- 実行予定日
- 貸出期間と据え置き期間
- 保全(担保・保証人の有無)
- 資金使途
融資を打診する時は、必ず上記の情報を提供しましょう。
審査をする上で重要視する項目
融資の実行を検討する時、下記の項目を重要視しています。
- 返済の可能性
- 融資効果
返済の見込みが無いと、金融機関は融資を実行しませんので、しっかり計画を立てておきましょう。
融資審査の着眼点「定性面」
金融機関の審査では、定性(数字で表すことができない要素)と、定量(数字で表せる要素)の両面をみて分析をします。
まずは定性から見ていきましょう。
(1)経営者
事業を運営していくうえで、経営者の器はとても大切です。
金融機関は、下記の項目を見て、融資実行の判断をおこないます。
【金融機関が経営者に対してチェックする項目】
- 経営者としての資質
- 人柄・人望
- 心構え
- 経営するために必要な知識
- リーダーシップ
- コミュニケーション能力
- 実行力
- 計数管理能力
- 年齢(健康状態)
- 後継者の有無
- 個人資産(資産背景)
- 経営意欲
経営者自身を見て、事業発展が可能なのかを、金融機関は検討します。
(2)企業を取り巻く環境
金融機関は、事業者(経営者)がこれからおこなう事業の内容を理解できても、企業を取り巻く環境はわかりません。
ですので、事業にかかわる業界の環境を、伝える必要があります。
しっかり環境を調べて、事業者側から情報を伝えれば、金融機関に好印象を与えるでしょう。
チェック項目は、下記になります。
- 業界の動向
- 仕入れ価格の状況
- 市場の成長性
- 取り扱い商品の成長性
- 競合企業との比較
(3)事業の内容
金融機関の担当者は、事業の内容を理解できていない担当者も多いのです。
担当者が、事業の内容を知らないまま作成すれば、その稟議書は説得力の無い物になります。
ですので、事業内容もしっかり説明していきましょう。
下記がチェック項目です。
- ターゲットの顧客
- 商品・サービスの特徴(新規性・独自性・優位性)
- 競合優位性
- 収益の源泉となる強み(技術力・開発力・財務力・ノウハウなど)
- 仕入れ先との関係
- 販売先との関係
- マーケティング力
(参照:近代セールス2022年11月1日号P12~13)
融資審査の着眼点「定量面」
金融機関が融資審査をする際、真っ先に見るのが「決算書」です。
初めての取引の場合、3期分の決算書を比較し、財務内容と傾向を細かくチェックします。
定量面からみて重要視するのは、「現金・預金、受取手形・売掛金、在庫、貸付金」の4つの項目です。
(1)現金・預金
月商売上の3か月分程度は、確保できていれば好ましいでしょう。
(2)受取手形・売掛金
売上が増えていないのに、受取手形や売掛金が増えていたら、金融機関は、下記の事を懸念します。
- 粉飾
- 不良債権
- 債権回収期間の長期化
粉飾がおこなわれると、融資を受けることは不可能になります。
(3)在庫
不良在庫がチェックされます。
粉飾のために「在庫」で、売り上げを調整するパターンがあるので、注目度が高いです。
(4)貸付金
大きな金額が計上されていると、金融機関は警戒します。
特に、貸付先が「関連企業・経営者個人」だったら、転貸資金(又貸し)と考えられる可能性があるからです。
転貸資金(又貸し)は、金融機関が嫌う「資金使途違反」の一つなので、その後の融資は難しくなります。
決算書以外の書類「損益計算書・事業計画書」
損益計算書も、経営状態がわかる書類なので、金融機関はしっかりチェックしています。
経営赤字が続いている場合、将来性が無いと判断され、融資がされにくくなりますが、しっかりとした事業計画書を作成しておけば問題ありません。
「今は赤字」でも、事業計画書で「来期は、この計画で運営していくので、利益が出せると思います」と伝えることができます。
金融機関が納得できる事業計画書を作成して、一緒に提出すれば、前向きに検討してもらうことができますよ。
財務内容が不安な事業者も、融資が可能に
金融機関のチェック項目を把握して、情報を提供すれば、審査が通る可能性が高くなります。
財務内容が多少厳しくても、資金繰りに悩む必要はなくなるでしょう。
金融機関への情報提供で重要なことは、「適切な相手に」「適切な情報を」「適切なタイミング」でおこなうことです。
どのような情報を用意して提供すればいいのか、迷う場合は、しっかりしたアドバイスを的確にしてくれる専門家と一緒に進めていきましょう。