融資で複数の金融機関へ同時申請可能?上手な付き合い方

事業を始めてから、資金が少し足りない・もう少し資金があれば、機材の導入もできて、事業の拡大もできると考えている経営者は多いと思います。
そんな時、複数の金融機関に同時に融資を申し込んでもいいのかが気になってくるかもしれません。
Contents
複数の金融機関への同時打診(申請)について

複数の金融機関に融資の申し込みを同時におこなうことは可能なのか、例をあげてご紹介します。
例)Aさんは合計1,200万円の融資を希望しています。
各金融機関への申請希望額は以下の通りです。
- 日本政策金融公庫:800万円
- 民間金融機関A:200万円
- 民間金融機関B:200万円
※)民間金融機関での融資は、信用保証協会の保証付き融資を希望。
金融機関に、同時に並行申請は大丈夫?

結論をいいますと、日本政策金融公庫と民間の金融機関との並行申請は可能です。
ですが、民間の金融機関A・Bともに信用保証協会を利用するということですから、民間の金融機関の並行申請は避けた方がいいでしょう。
その理由は下記のようになります。
- 民間の金融機関を二つ使う合理的な理由がない
- 信用保証協会も、審査を2回しなければならないので、手間がかかる
結論として、民間の金融機関で信用保証協会を利用する場合、同時に融資を申請したら信用保証協会ですぐにわかります。
ですので、民間金融機関の融資の並行申請は、おすすめではありません。
同時打診していることは申告したほうがいい?

日本政策金融公庫と民間の金融機関の融資を同時に打診していたら、それぞれに申告をしておいた方がいいのでしょうか。
公庫と民間金融機関の同時打診は申告した方がいい?

公庫や民間の金融機関への、同時打診の申告は控えた方がいいでしょう。
もしもですが、皆さんが誰かにお金を貸してほしいと言われた時「○○にも、お金貸してってお願いしているの」なんて言われたら、どう思いますか。
おそらく「だったら○○に借りればいいのでは」となりませんか。
金融機関ですから、いろいろな審査の結果が優先されますが、個人のやり取りでも心証があまり良くないですよね。
融資の審査面談は、相手が気を悪くするかもしれないことは、言わない方がいいでしょう。
同時に打診ではなく、順番に融資の申し込みを

公庫と民間の金融機関(信用保証協会こみ)に、同時に申し込みは可能です。
ですが、上記のAさんのパターンの場合は、このような流れがおすすめです。
- 公庫で、希望額の1,200万円を申し込む
- 公庫で申請が通ればOK
- 民間の金融機関で足りない分(100万円程度)を借りる
公庫で、希望額満額を借りることができれば、それで申し込みを終わらせればいいですし、もしも希望額に届かなかった場合には、不足分を民間の金融機関に申し込むようにしましょう。
日本政策金融公庫とは

日本政策金融公庫とは、株式会社ですが政府が株式を持っているので、政府系の金融機関というカテゴリーで、日本政府の政策に沿った業務をおこなっています。
新しく事業を始めたいと考えている人に対して、多数の融資制度があります。
民間の金融機関では、なかなか借りることが難しい創業融資を借りることができるので、事業をこれから始めたいと考えている人にとっては、一番身近な金融機関になるでしょう。
金融機関とは

金融機関は、いろいろな種類があります。
事業を始めるために融資をと考えているならば、いろいろな金融機関の種類を頭に入れておいた方がいいでしょう。
金融機関によって、創業融資に対しての姿勢も違いますので、あわせてご紹介します。
金融機関の種類「都市銀行」

全国規模で展開されている銀行でメガバンクとも呼ばれているので、名前をよく耳にするのではないでしょうか。
創業融資は、あまり積極的ではない印象です。
金融機関の種類「地方銀行」

地方の名前がついている銀行が、地方銀行のカテゴリーに入ります。
この地方銀行は、創業融資に対して積極的な銀行と、あまり積極的ではない銀行とあります。
積極的かどうかの見分け方として、「創業」に関するイベントや相談会・チラシがあるかどうかも判断の一つになります。
それらの資料をよく見て、融資に対する取り組みを確認してみましょう。
金融機関の種類「信用金庫・信用組合」

信用金庫や組合って、銀行と同じような業種なのに、どう違うのかよくわからない人も多いかもしれません。
銀行とは「組織」が違い、銀行よりも地域に根差した協同的な組織になります。
規模の小さい事業であっても、創業融資に対して積極的です。
金融機関の種類「政府系の金融機関」

民間の金融機関は、創業融資は敷居が高い傾向がありますが、政府系の金融機関は、政策に連動している融資を多数取り扱っているため、創業融資も通りやすいです。
政府系の金融機関って、あまり聞かないと思うかもしれませんが、日本政策金融公庫もこの政府系の金融機関の一つになります。
新たな金融機関の開拓は必要

金融機関は、メインバンクだけではなく、他の金融機関とのお付き合いも視野に入れておきましょう。
個人で銀行を利用する場合でも「一つの銀行としか取引していない」という人はいないでしょう。
複数の銀行の使い分けとして、貯蓄用・生活費の管理・送金用など多岐にわたりますよね。
それと同じように、事業を始める時には、複数の金融機関とお付き合いをしていくことが、融資成功の道筋の一つです。
普段よく利用している金融機関がひとつだけだと、万が一融資が通らなかった場合、そこで資金調達は行き詰まってしまう可能性があります。
そんな時に、今までお付き合いのなかった金融機関に融資を申し込んでも、受けられる可能性は低いでしょう。
理由は、金融機関は困ったときだけお金を借りにくるのをよく思わないからです。
資金に余裕のあるときに、新たな金融機関とお付き合いを始めて、良い関係を築いていけば、資金繰りのリスクを減らすことができます。
融資の種類や訪問する金融機関によって対応は変わります

複数の金融機関に融資を打診する場合、アプローチの方法や順番はとても重要です。
今回の事例のように、先に公庫へ申し込んだ融資が実行されれば、それが実績となり、後の金融機関での手続きがスムーズになる場合もあります。
ですが、過去に融資の実績があっても、同じ金融機関で次も融資が通るとは限りません。
よいお付き合いのできる金融機関を複数持っていることが、資金調達をスムーズにしてくれるでしょう。
もしも金融機関選びに迷う時は、専門家に相談することも一つの手段です。
専門家は、その時の状況に応じた、より良い金融機関を選ぶお手伝いもできます。
自分たちだけで悩んで、時間が経ってしまうより、専門家の力を借りて、スピーディーに進めていきましょう。