融資審査に見せ金は通用しない!百害あって一利なしの真実

創業時には何かとお金がかかります。
日本政策金融公庫の創業融資を検討する事業者も、多くいらっしゃるでしょう。
融資審査の際には、自己資金がどれくらいあるかが、重要なポイントのひとつとしてチェックされます。
そのため、「見せ金」と呼ばれる方法で、本来の自己資金よりも多く見せようとするケースもあると聞きます。
しかし見せ金はハイリスクもハイリスク、その上リターンはほぼない危険な方法です。
見せ金が良くない理由と、見せ金をせずに希望融資額を受けられる可能性を高めるポイントをご紹介します。
見せ金とは?

見せ金とは「自己資金があるかのように見せること、またはそのお金」のことです。
融資を受ける際には、自己資金の金額は重要な判断材料になります。
自己資金がなければ、融資が否決される可能性もあるのです。
そのため、第三者から一時的にお金を借りてきて、自己資金として金融機関に提示する「見せ金」をするケースがあります。
「創業したいけどまとまったお金がない」、「融資額を増やすために自己資金を多く見せたい」等といった場合もあるかもしれませんが、決して良い方法ではありません。
見せ金はほとんどの場合が金融機関にばれます。やめましょう。
見せ金はばれる!相手は百戦錬磨のプロ

金融機関の担当者は、融資のプロです。
提示された金額が本当に自己資金なのか、それとも見せ金なのか、ほぼ見破ります。
審査の際は、預金通帳を提出して自己資金を確認します。そのとき、不自然な高額の入金は指摘を受けるでしょう。
例えば、普段は数万円単位の取引のところ、1回で100万円の振込があったとします。本当は見せ金なのに「売上だ」等とごまかして答えれば、「その取引の請求書など証明できる書類を提示してください。」と、その証拠を求められるのです。
理由をつけて通帳の提示を拒否すれば(紛失した、シュレッダーにかけた、など)、取引金融機関からデータを取り寄せるように言われるかもしれません。
安易に思いついた方法では、簡単にばれてしまうのです。
しかも、見せ金はばれたら、金融機関のブラックリスト入りする可能性もあります。
見せ金がNGな理由

金融機関のブラックリスト入りするということは、創業融資だけでなく、その先もずっと融資を受けられないということです。
なぜ、見せ金にそこまで重いペナルティが科されるのでしょうか。
見せ金をしなければいけないほど自己資金がないということは
- 創業に対する覚悟がない
- 創業するにあたって計画性がない
- 事業計画の実現可能性が低い
と捉えられてしまいます。
なにより、「見せ金=金融機関に自己資金の金額を偽る行為」です。
ウソをつくような事業者を信用できない、融資するべきでないという判断になるのは、当然といえるでしょう。
不自然なお金の流れがあった場合、金融機関の担当者は徹底的に調べます。
もしブラックリスト入りして、今後融資を一切受けられないとなれば、事業は立ち行かなくなる可能性が高まります。
見せ金をして良いことは、何もないのです。
評価される自己資金・評価されない自己資金

通帳に同じ100万円の残高があったとします。自己資金として評価されるか、見せ金として疑われるかの違いはどこにあるのでしょうか。
重要なのは、100万円を貯めるまでの過程=きちんと貯めたことがわかるかどうか、です。
一度(特に融資申し込みの直前)に多額の振込があると、見せ金として疑われる可能性が高くなります。
逆に、毎月少しずつお金を口座に入金し、時間をかけて貯めた100万円は、計画性のある自己資金として評価されやすくなります。
では、口座には入金せずに毎月コツコツ貯めた現金100万円を、一気に入金した場合はどうでしょうか。
お金の説明が根拠を持ったものであることや、事業者の毎月の収入状況などから、自己資金として判断してもらえることもあります。
しかし、見た目が見せ金に似てしまうので、認められないこともあります。
不要な疑いを避けるためには、定期的に口座に入金しておく方が確実です。
融資額を増やしたいなら計画性を示そう

日本政策金融公庫の新創業融資制度のホームページには、自己資金の要件について以下のように書かれています。
創業時において創業資金総額の10分の1以上の自己資金(事業に使用される予定の資金をいいます。)を確認できる方
引用元:日本政策金融公庫ホームページ
つまり、自己資金が100万円あれば900万円、300万円なら2,700万円の融資を受けることが理論上は可能です。
しかし実際は、「希望融資額の3割程度」の自己資金を持っていることが望ましいとされています。
自己資金があればより多くの融資を受けられる可能性が高まるので、見せ金を思いついてしまう事業者がいるのでしょう。
しかし、見せ金をすることは決して良くありません。
融資額を増やしたいなら、他の方法があります。
ポイントは事業の計画性を示して「成功しそうだ」と金融機関に思ってもらうことです。
まずは自己資金を少しずつ貯め、定期的に口座に入金することから始めましょう。
もう一つは、内容の充実した創業計画書を作成することです。
どちらも事業者の計画性の根拠となります。
金融機関に「この人なら成功するだろう」と思ってもらうために不可欠なものです。
見せ金は通用しない!自己資金は計画的に準備しよう

創業融資を受けるために自己資金を多く見せる見せ金は、担当者にほぼ見破られてしまいます。
見せ金がわかってしまうと、創業融資を受けられなくなります。その上、ブラックリスト入りになり、その後の融資にも影響する可能性もあります。
融資の審査では、いかに計画的に準備を進めてきたかがポイントの一つです。
付け焼刃のような対策をするのではなく、早めに計画を立てて、少しずつ自己資金を貯めていくようにしましょう。