信用保証協会の融資審査に落ちた!転貸資金の事例紹介
信用保証協会付の融資は、創業融資の時にお世話になることも多く「審査が通りやすい」と言われています。
ですが、信用保証協会の審査が通らないこともあるのです。
これから信用保証協会付の融資を考えている経営者は、注意しておきましょう。
Contents
信用保証協会の融資が落ちた!
信用保証協会付の融資が断られるケースは、いろいろあります。
融資金を動かすときは、注意しておきましょう。
信用保証協会付の融資が断られた事例
信用保証協会の保証付き融資を、断わられてしまった事例の一つです。
- 以前、信用保証協会付の融資を受けている(1,100万円)
- 半年前、融資金を法人口座から代表者個人の口座に送金(400万円)
- かつて代表者が立て替えた経費の未払い金として送金をした
- 新たに申し込んだ融資は通らなかった
信用保証協会の判断は?
融資が通らなかった理由を、金融機関の担当者に聞いています。
信用保証協会が「事業のために融資したお金を、代表個人の口座に送金しているから、転貸資金」と判断されたのではないか、と言われたそうです。
転貸資金(テンタイシキン)とは?
転貸資金(テンタイシキン)とは、金融機関から借りているお金を、第三者(企業や人)に「また貸し」することです。
転貸資金は、金融機関が好まない資金の使い道の一つになります。
金融機関は、事業を営む企業の発展のために、融資をおこないますよね。
「第三者に融資金を渡すならば、その第三者が直接、融資の申し込みをすればいいのに。」と金融機関は思うのです。
また貸しをした企業に対して、良い感情を持たなくなるので、今後の融資は難しくなるでしょう。
資料を使って証明すれば、融資審査は通る?
信用保証協会に対して「この400万円の送金は社長が立て替えた経費の精算であり、事業として送金したものである」と証明すれば、新規融資が通りやすくなる可能性はあるのでしょうか。
答えは、証明できる資料や書類があれば、提出する価値はあるかもしれません。
ただ、後から資料を提出しても、信用してもらえない可能性の方が高いです。
ですが今回は無理でも、次回の融資申請をするまでに、できる行動があります。
次回の新規融資のための行動2点
次の融資申請の前にしておくべきことは下記の2点です。
- 移動した400万を社長の口座から会社の口座に戻す
- 社長が立て替えた時点に遡って400万円を「経費立替金」または「社長から会社への貸付」という処理をしておく
精算した経費を、法人口座に戻す理由は、金融機関や信用保証協会に説明するために、必要だからです。
「前回、代表者への支払いが転貸資金とみなされてしまいましたが、以前、代表者が立て替えていた経費を精算したもので、決して転貸資金ではありませんでした。ですが、疑われても仕方がなかったと思ったので、いったん元に戻して、経費立替金(社長借入金)と計上しています。」と理由を伝えることが大切です。
直近の試算表を見てもらいながら、しっかり説明して、話を聞いてもらいましょう。
次回の融資のために準備しておくもの
次回の融資のために行動した後は、試算表でもきちんと処理をしていくことが大切です。
信ぴょう性を高めるために下記の準備もしておきましょう。
- 代表者が立て替えた経費の用途
- 支払日が分かる振込伝票や請求書・領収書など
- 給料以外の、お金の直接振り込みをやめる
代表者の個人的なお金から、つい会社の備品を購入することはあるかもしれません。
手間はかかりますが、必ず領収書や振込伝票の控えを大切に保管して、早めに対応しておきましょう。
信用保証協会とは
信用保証協会とは、融資を受ける時に「公的な保証人」になって、融資を受けやすくなるようにサポートしてくれる機関です。
信用保証付き融資のメリット
信用保証協会を利用するメリットは、たくさんあります。
信用保証付き融資のメリット「保証人・担保を用意しなくてもいい」
融資を申し込むと、保証人や担保が必要になる場合が多いです。
ですが、信用保証協会付の融資に申し込めば、協会が保証人になってくれるので、融資を受けやすくなります。
信用保証付き融資のメリット「長期の借り入れも利用できる」
特に、実績の少ない立ち上げたばかりの事業者は、金融機関の融資は通りにくいです。
ですが、保証協会付の融資は、通りやすくなります。
それだけではなく、長期借入の融資審査も通りやすくなりますから、長いスパンで事業展開ができるでしょう。
信用保証付き融資のメリット「融資枠が広がる」
融資には、保証協会付の融資と、金融機関が直接おこなっているプロパー融資があります。
金融機関によって違いますが、保証付き融資はプロパー融資とも一緒に利用することができるので、融資金額もより多くすることも可能です。
信用保証付き融資のデメリット
信用保証協会には大きなメリットがありますが、デメリットもあります。
信用保証付き融資のデメリット「それぞれ審査がある(待つ時間が長い)」
信用保証協会付の融資を受ける場合、金融機関と信用保証協会と二つの審査を受けなければなりません。
書類も用意しないといけませんし、二つ審査がある分、長くて2か月ほど待つこともあります。
信用保証付き融資のデメリット「保証料を払わないといけない」
融資が通りやすいメリットがありますが、信用保証協会にも保証料を払わないといけません。
そのため、トータルの返済金額が多くなります。
信用保証付き融資のデメリット「返済金が無くなることはない」
信用保証協会は、経営者が返済に困り、支払えなくなった場合には、立て替えて返済をしてくれます。
ですが、返済義務が無くなったわけではありません。
信用保証協会は、一時的に「代わりに支払いをした」だけです。
今後は、信用保証協会に支払いをしていかないといけません。
思わぬ判断を下されても、打つ手を知っておけば次の行動を取れる
そのつもりがなくとも、金融機関や信用保証協会に「転貸資金」と判断されると、その融資の借入金を全て返済しない限り、同じ制度での新規融資は難しくなります。
そうならないためにも、事前の対策は非常に重要です。
もしもすでに、そのような状況になっている場合は、経緯と現状を把握して改善する必要があります。
資金を動かすことで、起こってしまうデメリットを回避するための行動を、アドバイスしてくれる専門家と一緒に進めていくことが、大切ですよ。
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