廃業・休業を考えた個人事業主必読!違いや手続方法を解説

このページを開いたあなたは、事業主として廃業・休業を多かれ少なかれ検討されているのではないでしょうか。
こちらの記事では、廃業と休業の違いや、それぞれの手続き方法についてご紹介します。
廃業について真剣に考えている、あるいは念のため知っておきたいという場合もぜひご一読ください。
廃業とは?

廃業とは、法人や個人事業主が自分から事業をやめることをいいます。
よく似た言葉に倒産がありますが、倒産とは資金不足などによって事業を続けることができなくなった状態のことです。
自分の意思でおこなうかどうか、資金がなくなる前か後かといった違いがあります。
帝国データバンクの「全国企業倒産集計2021年上半期報」によると、2021年上半期の倒産状況としては、半期ベースで2000年以降最少となりました。
帝国データバンク「全国企業倒産集計2021年上半期報」 はこちらから
コロナ下で事業者にとっては苦しい状況ではありましたが、政府の様々な助成金・支援金制度によってここまで抑えられたと考えられます。
一方で、休業・廃業に関しては2020年に続いて高水準を保っている状況です。
帝国データバンク「2021年1-6月 全国企業『休廃業・解散』動向調査」はこちらから
さまざまな理由から事業継続を断念する事業者が増えているようです。
休業とは?

休業とは、「休む」という字のとおり、事業を一時的に停止させることです。
事業は存続しているという点で、廃業と大きな違いがあります。
そのため、廃業と比べると様々なメリットやデメリットがあります。
事業の進退を考えるときは、それらのポイントを踏まえて結論を出すことが大切です。
具体的なメリットとデメリットについては次の項目でご紹介します。
廃業・休業どちらを選ぶ?メリットとデメリット

事業を停止しようと考えた場合に、廃業と休業どちらがよいのでしょうか。
もし、少しでも事業再開の可能性があるなら休業がおすすめです。
まず、廃業を選ぶと、次の項目でご紹介する書類手続きのほかに、資産や負債の整理が必要になります。
全ての手続きを終わらせるには、それなりの手間と費用がかかります。
一方で休業するにも手続きが必要ですが、廃業に比べるとだいぶ簡便です。
また、所定の手続きをおこなえば事業再開も比較的簡単にできます。
廃業してしまうと事業を再開しようと思ってもゼロからのスタートになってしまい、大変な手間がかかります。
そのため、事業再開の見込みがあるなら休業を選択しておくのが良策なのです。
ただし、休業の場合、休業中も確定申告を続けなければなりません。
これは休業のデメリットといえるでしょう。
休業中の確定申告については、この後の項目で詳しくご紹介します。
廃業に必要な書類・手続き

個人事業主が廃業する際に必要な提出書類は以下のとおりです。
- 廃業等届出書(全ての個人事業主)
- 所得税の青色申告取りやめ届出書(青色申告をしていた場合)
- 給与支払事務所等の廃止届出書(従業員を雇用していた場合)
- 事業廃止届出書(消費税納税者)
- 所得税および復興特別所得税の減額申請書(予定納税をしていた人)
廃業届は、全ての個人事業主が廃業から1か月以内に提出しなければなりません。
廃業届を提出しないでいると、事業が継続しているものとみなされます。
そのため、廃業後であっても確定申告の対象となり、申告しなかった場合は無申告加算税など、余計な税金を払う羽目になってしまうのです。
そのほか、青色申告取りやめ届出書は多くの個人事業主が提出対象となるのではないでしょうか。
廃業届を出せば青色申告も当然とりやめになるもの、と考えてしまうかもしれませんが、別途提出が必要になります。
締切は青色申告をやめる年の翌年3月15日までですが、廃業届と一緒に提出するのがスムーズです。
休業に必要な書類・手続き

廃業ではなく、休業を選択した場合、必要な提出書類は以下のとおりです。
- 異動届出書
- 給与支払事務所等の廃止届出書
- 消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書
- 健康保険・厚生年金保険適用事務所全喪届
これらの提出書類に提出期限はなく、資産負債の整理も必要ないので手続きは比較的簡単です。
ただし、青色申告書の提出は休業中でもしっかり実施しなければいけません。
事業を行っていないので収入ゼロ経費ゼロで申告書を提出します。
もし、2期連続して青色申告を行わなかった場合、青色申告の承認が取り消されてしまいます。
さらに、申請が取り消されてしまうと1年間は青色申告ができなくなり、赤字の繰り越し適用が受けられなくなってしまうのです。
事業を再開するタイミングで手間にならないよう、休業中もかならず青色申告を継続しましょう。
事業を畳む前に考えよう

廃業・休業の違いや手続き方法についてご紹介しました。
新型コロナウイルス感染症の影響で売上が落ち込んでいる事業者や、それによって廃業を検討している事業者は少なくありません。
しかし、そんな苦境だからこそ、既存のスタイルを見直し新しいビジネスを作り出すタイミングでもあります。
資金確保については政府が様々な施策を打ち出しており、補助金・助成金を活用するのも手段の一つです。
廃業を考える前に、これらの制度をじょうずに活用して、新しいビジネスを模索してみてはいかがでしょうか。