東京都の感染症対策助成金!備品・設備費用の負担軽減に
新型コロナウイルスの感染者数は8月にピークを迎えましたが、秋ごろから徐々に減少傾向を見せ、社会活動も少しずつ元に戻りつつあります。
しかし、いつまた第6波が来るかわからず、事業者は感染症対策など万全の準備をしておかなければなりません。
そんなときに活用してほしいのが東京都の「中小企業等による感染症対策助成事業」です。
業界団体が作成した新型コロナウイルス感染防止ガイドライン等(以下、ガイドライン等)に沿った取組に対して費用の一部を助成する制度となっています。
今回は4つの申請コースの紹介と、幅広い事業者に対応する「単独申請コース」の詳細について解説します。
申請を検討している場合はぜひご一読ください。
単独?グループ?それとも飲食店?4つの申請コース
東京都中小企業振興公社(以下、公社)が実施する「中小企業等による感染症対策助成事業」は4つのコースに分けられます。
それぞれ助成の対象となる事業者と経費が異なります。
コース名 | 助成対象事業者 | 助成対象経費 |
単独申請コース | 都内中小企業者(会社および中小企業者)等 | ガイドライン等に基づく感染予防対策に係る 備品購入費、内装・設備工事費 |
グループ申請コース | 3者以上の中小企業者等で構成されるグループ | 新型コロナウイルス感染症対策に直接関係する 消耗品の購入費 |
飲食団体申請コース | 飲食店営業許可書を有する事業者が会員に含まれる 法人格を有する団体等 | 新型コロナウイルス感染症対策に直接関係する 消耗品の購入費 |
コロナ対策リーダー 配置飲食店等の申請コース | 東京都による研修を修了した コロナ対策リーダーを配置している店舗 | 新型コロナウイルス感染症対策に直接関係する 消耗品の購入費 |
上記の表は一例です。詳細はかならず募集要項をご確認ください。
単独申請コースは都内の中小企業者であれば1者でも申請が可能で、業種の制限もほとんどないので、幅広い事業者が活用できます。
また、備品の購入や設備の工事費用として使えるのは単独申請コースのみです。
換気扇やサーモグラフィーの設置、レイアウトの変更工事の費用に対して助成が受けられます。
他のコースは消耗品を対象としており、例えば消毒液やマスク、使い捨ての手袋などの購入費用が対象経費となります。
単独申請コースを徹底解説!
ここからは、幅広い中小企業者に対応している単独申請コースについてご紹介します。
- 単独申請コースを申請できる事業者とは?
- 最大200万円の備品購入費&内装・設備工事費を助成
- 一目でわかる!申請方法と提出書類一覧
- 提出したら終わりではない!気をつけたいポイント
についてわかりやすく解説しますので、申請を検討している方は是非チェックしてください。
単独申請コースを申請できる事業者とは?
単独申請コースの助成対象者となるのは、都内で事業を行っている以下の事業者です。
- 中小企業者
- 一般財団法人
- 一般社団法人
- 特定非営利活動法人(NPO法人)
- 中小企業団体等
中小企業団体の場合は、構成員の半数以上が都内で事業を行っていることが条件になります。
医療法人、学校法人、宗教法人、商工会などは助成の対象外です。
詳しくは募集要項をご確認ください。
最大200万円の備品購入費&内装・設備工事費を助成
単独申請コースが助成対象経費としているのは、感染予防対策となる備品の購入費と、内装・設備工事費です。
それらの経費のうちの3分の2以内が助成対象となり、助成限度額は費用によって異なります。
- 備品購入費のみ … 50万円
- 内装・設備工事費を含む場合 … 100万円
- 内装・設備工事費のうち、換気設備の設置を含む場合 … 200万円
例えば、内装・設備工事を含めた助成対象経費が300万円かかった場合、助成率を掛けると200万円となります。
300万円 × 2/3 = 200万円
そのうち、内装・設備工事費を含む場合の助成限度額は100万円ですので、助成金として交付申請できるのは100万年までで、残りの100万円は自己負担となります。
具体的な助成対象経費については募集要項をご確認ください。
募集要項に記載されている取り組みのほか、
- 内閣官房ホームページ掲載の「業種別ガイドライン」
- 各省庁・東京都・都内区市町村が作成する感染予防対策を目的としたガイドライン等
に沿った取組であれば、助成対象となる可能性があります。
一目でわかる!申請方法と提出書類一覧
東京都の感染症対策助成事業の申請は郵送のみ受け付けています。
簡易書留、レターパック等の記録が残る方法で郵送しましょう。
持参や宅配便はNGです。メールやFAXも受け付けていません。
書類のまとめ方は、クリップ留めのみ認められています。
提出書類は以下の通りです。
【法人・個人事業主共通】
- 申請書
- ガイドライン等
- 見積書・工事図面など
- 実施場所がわかる書類
【法人のみ】
- 登記簿謄本
- 納税証明書(法人事業税納税証明書、法人税納税証明書など)
- 直近1期分の確定申告書(税務署の受付印のあるもの、別表一、二)
【個人事業主のみ】
- 開業届
- 納税証明書(個人事業税納税証明書、住民税納税証明書など)
- 直近1期分の確定申告書(税務署の受付印のあるもの、第一表)
未決算法人やNPO法人、非課税の個人事業主では提出する納税証明書の内訳が変わりますので、かならず募集要項を確認してください。
提出したら終わりではない!気をつけたいポイント
申請書類を提出したのち、公社による審査が行われ交付が決定します。
しかし、交付の決定=助成金の交付というわけではありません。
交付決定後に助成の対象となる取り組みを実施した上で、実績報告が必要です。
そして、実績報告に対して完了検査が実施され、そこで初めて正式な助成金交付額が確定し、助成金が交付されます。
検査は書面だけでなく、公社の職員が実施場所を訪問して現物を確認することがあります。
また、助成金の交付後も実施状況について公社の現地調査が入ったり、報告を求められたりすることがあるので、注意しましょう。
制度を上手に活用して感染予防対策を
東京都の「中小企業等による感染症対策助成事業」についてご紹介しました。
換気、飛沫感染の防止、体温測定など、「コロナ前」には必須とまで言えなかったものが、これからの事業継続のために「なくてはならないもの」になりつつあります。
備品の購入や設備・工事費は多大なものになりますが、このような制度を上手に使って費用負担を軽減していきましょう。