金融機関の考え方とは?良好な関係作りのため内情をご紹介

新しい事業を始める時や、事業を継続させるために融資を申請する経営者は多いですよね。
創業したばかりの時の融資は、公庫にお願いすることが多いかもしれません。
ですが、ある程度経営も軌道に乗り、新事業を展開したいと考え始めた場合、融資をお願いしたいと考える相手に、民間の金融機関を選ぶ経営者は多いのではないでしょうか。
特に、地域に根差した事業を展開している場合は、地域密着型の金融機関を選ぶと思います。
金融機関に融資を申請するためには、金融機関と良好な関係を作る必要がありますがそれだけでは不十分です。
融資を申請する時には、金融機関との良い関係だけではなく、他にも知っておくべきことがありますので、これからご紹介しますね。
Contents
金融機関の考え方を理解しよう

金融機関と良い関係を作るためには、月々の状況報告が大切です。
ですが事業の内容や状況を金融機関に知らせるだけではなく、経営者側も、金融機関の内情を知る必要があります。
- 金融機関を取り巻いている環境
- 融資に対する動向
上記を知ることはとても重要ですが、これだけでは不十分です。
他にも、下記の事を知っておきましょう。
- 金融機関が嫌うことや望んでいること
- 金融機関の考え方
経営者側が、金融機関が嫌がることをすれば距離を置かれてしまいますし、喜ぶことをすれば距離が縮まりやすくなります。
相手を知ることはとても大切なことですから、金融機関の内情や考え方を知っていきましょう。
金融機関の考え方①「本部第一主義」

金融機関の考え方の一つとして、金融機関は自行の本部を重要視しています。
本部第一主義とは

金融機関の「本部第一主義」とは、どのようなことなのでしょうか。
下記のようなケースを、一例としてご紹介します。
- 商品が2つ(A・B)がある
- Aの方が、顧客(取引先)のニーズに合っている
- 本部が推進している商品はB
この場合、顧客(取引先)のニーズに合っている商品はAですが、金融機関はBの商品を顧客にすすめます。
その理由として「支店だけでなく行員や職員は、本部の意思を尊重する」からです。
金融機関は「顧客第一主義」ではない

金融機関は「顧客第一主義」を掲げてはいますが、実は本部の意思を尊重する「本部第一主義」です。
本部から「Bを推進してほしい」という希望があれば、ニーズに合っていなくても、顧客にBの商品をすすめます。
なぜならば、支店や行員・職員の査定をおこなっているのは「本部」だからです。
そのため本部の希望が優先されます。
金融機関の考え方②「リスクを極力負わない」

多くの金融機関は、融資審査する時に、経営者の人となりも審査の対象にします。
金融機関はどちらの経営者を選ぶ?

金融機関は、下記の2つのタイプの経営者がいれば、どちらに融資を実行すると思いますか。
- 高い成果を上げているが、失敗も多い
- 成果はそこそこ、でも失敗は少ない
金融機関は、圧倒的に2番目の「成果はそこそこ、でも失敗の少ない経営者」を高く評価して、融資を実行します。
金融機関は減点主義

経営者側からすれば、失敗を繰り返しても最終的に成果を出して、事業継続できていれば「成功」と考えますよね。
ですが金融機関の考え方は、基本的に「減点主義」です。
事業者側が成果を上げていても、失敗があれば「失敗している」という結果を重要視します。
金融機関の融資実行までの流れ

金融機関で融資が実行されるまでの流れは下記です。
- 経営者から融資を打診
- 金融機関の担当者が稟議書を作成
- 稟議書を本部に通す
- OKが出たら融資が実行
融資が実行され、返済が完了すれば「融資は成功」となります。
苦労して稟議書を作成しても評価は同じ

ここで一例ですが、資金繰りが厳しく、経営危機に陥っている経営者から融資を打診されたという場合があったとします。
- 金融機関の担当者は、親切心で苦労しながら稟議書を作成
- 融資を申請した経営者からはとても感謝された
金融機関の担当者にとっては「経営者のため」という思いもあり、心血をそそぎながら稟議書を作成したため、思い入れのある融資となったのではないかと思います。
ですが、苦労して稟議書を作成しても、金融機関の組織の中では「通常の融資の一つ」というものでしかありません。
どんなに苦労して稟議書を作成して融資実行まで進んだとしても「事業が失敗して、融資金が返済されない」という事になれば、本部からは「失敗した融資」と評価されるのです。
上記でもご紹介しましたが、金融機関の支店や行員は「本部第一主義で、本部の査定」を気にします。
「融資金が返済されない」という事実は、本部からの評価は「マイナス査定」にしかなりません。
そのため金融機関は、最初からリスクが生じる可能性のある融資は、実行しない傾向があるのです。
金融機関の考え方③「金融機関の常識は世間の非常識」

「金融機関の常識は世間の非常識」と耳にしたことはないでしょうか。
金融機関に限らずですが、それぞれ経営している会社の中でも「社内ルール」がありますよね。
社内ルールに沿いながら、それぞれのお仕事をこなしているでしょう。
金融機関も同じで「社内ルール」があります。
金融機関の社内ルールとは

金融機関の社内ルールとは、一般的な企業の社内ルールとは違い、独自な物が多いため「非常識」と呼ばれることが多いのです。
一例として、下記があります。
- 同じような内容の複数の書類を、顧客に提出させる
- 同じ書類の中でも署名しないといけない箇所が複数ある
世間では「合理化」が進められていますが、金融機関は不測の事態に備えるために「前例踏襲主義」が社内ルールとして存在しています。
金融機関の前例踏襲主義とは

この前例踏襲主義は、金融機関が事前に自行を守るための「事前防衛」という意味合いがあります。
金融機関は合理的な部分が少なく、顧客(経営者)に、複雑な書類を何枚も提出させて融資を検討しますよね。
ですが、これは金融機関が「不測の事態」にならないようにするために設けたルールです。
「顧客に不便を強いることは、金融機関を守るため」でもあるので、合理化が進む一般的な企業とは違い、独自の社内ルールを貫きます。
そのため「金融機関の常識は世間の非常識」と言われるのです。
銀行員の立場を理解・尊重しよう

金融機関の行員・職員も、組織(自行)に勤務していますから、自分たちの勤める銀行(職場)を守らないといけません。
そのため上記のように、世間から「金融機関の常識は世間の非常識」と言われても、社内ルールを守っているのです。
彼らには彼らの立場やルールがあり、それに沿いながら考え、行動していることを、しっかり理解して尊重しなければ、融資も望むようには進まない可能性が高くなります。
ですがそんな金融機関の社内ルールを「しっかり理解して把握しましょう」と言われても、難しいですよね。
そんな場合は、的確なアドバイスをしてくれる専門家と一緒に、金融機関の考え方を理解できるように努めながら融資対策を進めていきましょう。