【融資】経営者保証とは?小規模企業でも保証を外せます!

「経営者保証に関するガイドライン」が策定され、以前よりも経営者保証の必要がない融資制度も増えてきました。
と同時に、経営者保証付きの融資制度を利用していた場合でも、経営者保証を外せるように働きかけることも可能になったので、企業側の負担も少しずつ軽くなっているのではないでしょうか。
ですが、それを実感できていない企業もあります。
それは規模が小さい「小規模企業」と呼ばれる企業です。
なぜ小規模企業は、経営者保証に関する負担が軽くなっていないのでしょうか。
Contents
小規模企業は経営者保証を求められる

小規模企業とは、年商10億円未満の企業のことです。
大企業や規模が大きめの中小企業は、経営者保証を求められることが無くなりつつあります。
ですが、いまだに小規模企業は経営者保証を求められるケースが多く、経営者保証を求められることも「当たり前」な状況でもあるのです。
その理由は「大企業や規模が大きめの中小企業に比べて小規模企業は信用力に劣る」からと言われています。
ですが、理由はそれだけではありません。
その理由をご紹介する前に、まずは「経営者保証」に関して、ご紹介します。
経営者保証とは

経営者保証とは、会社が金融機関から融資をうける時、経営者個人が融資の連帯保証人になることです。
金融機関から融資を受けることが可能になると、事業規模を拡大させるための設備を整えることも可能になるので、事業の将来性を考えると、融資申請を前向きに考える経営者も多いのではないでしょうか。
ですが融資の返済金が返せなくなった場合は、経営者個人が企業にかわり、融資の返済をおこなわなければなりません。
経営者保証付きの融資制度は、問題が無い訳ではないのです。
経営者保証の問題点

経営者保証は、金融機関からの融資金の返済時に関わるものです。
経営状態が良く、返済も滞っていなければ大きな問題はありません。
問題が発生する時とは、下記の時になります。
- 返済が滞った時
- 事業を他の人に引き継ぐ時
融資金の返済が滞った時、経営者が滞っている融資の返済をおこなわなければなりませんが、企業が金融機関に借りている金額は、個人で返済するにはとても大きな金額ですよね。
経営者が、家族や親せきに頼っても返済は難しいでしょう。
そして経営者が「事業を他の人に引き継がせたい・跡を継いでほしい」と思ったとしても、融資の契約で名義を書き換える時には、連帯保証人も後継者にかえなければならないのです。
もしも、後継者から「連帯保証人になるのは嫌」と言われれば、事業を引き継ぐことも難しくなるかもしれません。
「経営者保証に関するガイドライン」とは

経営者保証に関するガイドラインとは、法的な拘束力はありませんが、関係する人たちが自発的に、尊重・遵守することが期待されているものです。
経営者保証ガイドラインの3つの要件は下記になります。
- 資産やお金のやり取りが、法人と経営者が明確に区分・分離されている
- 法人の資産や収益力のみで、返済が可能
- 金融機関に対して、財務情報が開示されている
上記の、3要件の一部もしくは全てを満たした場合、経営者保証付きの融資ではなく、経営者保証なしで融資を受けられる可能が高くなります。
更に、現在受けている経営者保証付きの融資でも、経営者保証を外せるかどうかの見直しができる可能性があるのです。
もしも、経営者保証付きではない融資を受けることができれば、経営が破綻した場合でも、経営者は連帯保証人ではないので、企業に変わって返済をする必要がなくなります。
事業を引き継ぐ時も、後継者が連帯保証人になる必要が無くなるので「後継者が不在で廃業せざるをえない」ということも無くなるでしょう。
小規模企業が経営者保証を求められる3つの理由

大企業や中小企業の場合、経営者保証のガイドラインが遵守され、経営者保証なしの融資も検討されやすい傾向があります。
ですが小規模企業の場合は、経営者保証付きの融資が求められることが多いのです。
それはなぜなのでしょうか。
(1)経営者保証がついて当たり前だと思っている

上記で「経営者保証のガイドライン」に関して、ご紹介しました。
このガイドラインが公表されたばかりのころは、大企業や中小企業が対象で、小規模企業に対しては、まだ経営者保証の解除は難しかったのです。
ですが時間が経ち、経営者保証のガイドラインが浸透するにつれて、小規模企業でも経営者保証の解除ができたという事例も増えてきました。
ですが「まだまだ小規模だから経営者保証付きの融資しか受けられない」と、思い込んでいる経営者も多いのです。
経営者もそう思い込んでいるため、金融機関に「経営者保証の付いていない融資を…」と言い出せず、打診もしません。
金融機関も、融資金の返済が滞る・返済不能になることを恐れていますから、保証なしの融資を積極的に進めません。
そのため疑問に思わずに、保証付きの融資の審査に持ち込まれてしまうのです。
小規模であろうとも、経営内容や財務内容・金融機関との関係性が良ければ、経営者保証を外すことは可能ですから、積極的に打診しましょう。
(2)小規模企業だから銀行から解除提案してもらえない

「経営者保証ガイドライン」の知名度も広がり、周知されるようになると、金融機関を監督している金融庁からの指導方針「経営者保証を取らない方針で」を前面に出して、経営者保証の解除を求める中小企業が増えました。
その中小企業とは、下記になります。
- 常にアンテナを張っている経営者
- 財務専門の従業員が居る
金融機関は、経営者保証を外せるように条件を整え、さらに金融機関に解除を依頼してくる中小企業に対して、顧客が離れないように囲い込みを始めます。
その囲い込みとは「金融機関から、経営者保証の解除を提案すること」です。
金融機関からそのような提案をする理由は、優良な取引先を他の金融機関に奪われないようにするため。
「他の銀行は、経営者保証の解除に応じてくれました。貴行が応じてくれなければ、今の融資分も他の銀行に肩代わりを依頼します」と、企業から言われてしまったら、金融機関は顧客を失うので、とても困りますよね。
小規模企業で、経営者保証の解除条件が整っていても、下記の理由で金融機関から申し出ることは無いのです。
- 取引の規模が小さい
- 事情に通じてない(と思われている)
取引の規模が小さくても、金融機関にとっては顧客ですから、経営者保証の解除の依頼をしていきましょう。
(3)金融庁の方針変更を見逃している

2022年に、国は金融庁や財務省と連携して「経営者保証改革プログラム」を策定しました。
この時期から、一部の金融機関は経営者保証の解除を、積極的に進めるように方向転換して、実際に金融機関から企業へ働きかけの提案をおこなっています。
ですが国や金融庁のアナウンス、金融機関を取り巻く状況を知らない、中小企業の経営者は、経営者保証の解除がしやすくなったことを、知らないままなのです。
解除できる条件を備えていても、経営者保証の解除をおこなうチャンスを見逃しています。
経営改善をおこなえば「小規模企業でも経営者保証は外せる」可能性がある

上記で、経営者保証を外しやすい状況になったことをご紹介しました。
ですが今の時点で、融資を受けてから事業の立て直しをしなければならない状況の企業も多いと思います。
その場合は、まずは融資を受けて経営を改善してから、経営者保証を解除できるように進めていきましょう。
融資を通りやすくするおすすめの方法は「経営革新計画(中小企業庁)を活用する」ことです。
経営革新計画を活用するためには、都道府県知事の承認を受ける必要がありますが、日本政策金融公庫の「新事業活動促進資金」制度が活用できる可能性が高まりますよ。
経営者保証を外せる小規模企業は少なくない

小規模企業でも、経営者保証の解除は可能です。
解除する方法は、財務内容や経営内容、借入・金融機関との関係性などによって変わります。
金融機関に依頼に行くだけで解除してくれる場合もあれば、事前の準備が必要なケースもあります。
ケースバイケースですから、経営者保証を解除する方法がよくわからない経営者も多いのではないでしょうか。
その場合は、自社の経営状態から経営者保証を外せるか、外すための的確なアドバイスが欲しいですよね。
経験豊富な知識を持った専門家と相談しながら進めていきましょう。