青色確定申告のやり方は?白色との違いやメリットがわかる!
確定申告書には「青色」と「白色」の2種類があります。
それぞれの違い・対象者・申告方法については、よくわからないという声が多く聞かれます。
今回は、「青色」と「白色」の違いや青色確定申告の特徴、メリット、申告の方法などをわかりやすく解説します。
ぜひご参考になさってください。
確定申告書の「青色」と「白色」の違いは?
確定申告書の青色・白色の大きな違いは以下のとおりです。
青色申告 | ・複式簿記、または単式簿記での帳簿付け (特別控除が複式だと最高65万円、単式だと10万円) ・青色申告承認申請書の提出が必要 ・税務上の特典が受けられる |
白色申告 | ・単式簿記での帳簿付け ・青色申告承認申請書の提出が不要 ・税務上の特典が受けられない |
「単式簿記」は、収支のみをシンプルに記帳すればよいのに対して、「複式簿記」は、取引を複数の科目で記帳する方法です。
例えば、9月2日に30,000円の商品を売り上げて現金で受け取った場合の違いを見てみましょう。
単式簿記の場合 |
9月2日 収入 商品売上 30,000円 |
複式簿記の場合 |
9月2日 現金 30,000円 / 商品売上 30,000円 |
単式簿記でも青色申告の申請はできますが、複式簿記の方が特別控除額が大幅に多くなります。
今は、取引内容を入力するだけで記帳ができる会計ソフトもあります。複式簿記に不安がある場合は、活用することもよいでしょう。
ここからは、青色確定申告の特徴やメリットを詳しくお伝えしていきます。
青色確定申告とは?特徴・メリット
青色申告のメリットは、何といっても絶大な節税効果です。
個人事業主の節税対策の第一歩は、「青色申告の承認を受けること」とも言われているほどです。
また、節税以外にも下記のとおり、さまざまな特典があります。
青色申告特別控除 | 最高55万円の控除を受けることができる (e-Taxで申告すれば、65万円) (単式簿記による記帳の場合は、10万円) |
青色事業専従者給与 | 家族への給与を経費にすることができる (控除対象配偶者や扶養親族にはなれない) |
貸倒引当金 | 貸倒引当金を必要経費として計上することができる |
純損失の繰越しと繰戻し | 赤字の場合、3年間繰越し、各年分の所得金額から控除することが可能 |
少額減価償却資産の特例 | 30万円未満の固定資産は、経費にすることができる |
その他 | 経費で認められる範囲が広がる |
さらに、青色確定申告に必要な複式簿記では、「入金の理由・借金・赤字を含めた財産」などの記帳が必要になるため、財産全体の把握ができるようになります。
自分の事業の収益性を、正しく把握できるというメリットもあるのです。
また、複式簿記では「貸借対照表」と「損益計算書」を作成しますが、これが金融機関から融資を受ける際の重要な書類にもなります。
事業を長期的に考えるうえでも、複式簿記による青色確定申告は、とてもメリットの多い申告方法なのです。
青色確定申告の対象者
青色確定申告をできるのは、事業所得、不動産所得、山林所得のある人です。
個人事業主やフリーランスの人のほか、サラリーマンやパートで働いている場合でも、これらの所得があれば、青色確定申告の対象者になります。
事業所得とは | 農業や漁業、製造業やサービス業、その他の事業などを通じて得た所得のうち、譲渡所得と山林所得を除いたもの |
不動産所得とは | 土地や建物などの不動産の貸付け、船舶や航空機の貸付けによる所得 |
山林所得とは | 山林をその取得日以後5年を経過した後に伐採して譲渡、またはそのまま譲渡したことによって得た所得 |
青色確定申告に必要な「開業届」と「青色申告承認申請書」
初めて青色確定申告をする場合、まず最初に所轄税務署へ「開業届」を提出します。つづいて、確定申告を行う年の3月15日までに「青色申告承認申請書」を提出します。
「開業届」と「青色申告承認申請書」は一緒に提出することもできます。一緒に出すと、手間が省けるのでおすすめです。
この2つの書類が承認されることで、青色確定申告を行うことができるようになります。
承認されたら記帳を正しく行い、次の確定申告に備えましょう!
青色確定申告の申請手続きの方法
青色確定申告で提出する書類は、「青色申告決算書」と「確定申告書B」の2つです。
青色申告決算書は全部で4枚あります。
1枚目は「損益計算書」、その内容をさらに詳しく記したのが2・3枚目、4枚目が「貸借対照表」です。
提出方法は、以下の3つがあります。
- 税務署の窓口に持っていく
- 郵送する
- e-Tax(電子申告)を利用する
提出は、最大65万円の控除を受け取れるe-Taxがおすすめです。(その他の申告方法の場合は最大55万円)
ひとつ気をつけたいのは、e-Taxでの申告にはマイナンバーカードが必要なことです。
マイナンバーカードは、2020年9月現在混みあっており、申請から取得まで1か月以上かかるようです。早めに準備しておきましょう!
帳簿関係書類の保存義務について
青色確定申告を申請する場合、所得計算の裏付けとなる、帳簿書類の保存が義務づけられています。
もし、帳簿書類が保存されていない場合、過去にさかのぼって青色申告の承認が取り消されてしまいます。書類の取り扱いには十分に注意しましょう。
保存が必要な帳簿書類は以下のとおりです。
帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など |
決算関係書類 | 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など |
その他の書類 | 領収証、小切手控、預金通帳、借用証、請求書、見積書、契約書、納品書、送り状、注文書など |
保存期間は、黒字の年度と赤字の年度で、以下のように大別できます。
黒字年度 | 7年間 |
赤字年度 | ・決算日が3月31日までの年度→9年間 ・決算日が4月1日以降の年度→10年間 |
帳簿や領収書は確定申告時に提出する必要がないため、保存義務がないものと勘違いされる場合もあるようです。
提出する必要がないからといって、捨ててしまわないよう気をつけましょう。
節税に有利な青色確定申告にチャレンジしてみましょう!
ここまでご紹介してきたとおり、青色確定申告は大変メリットの多い申告方法です。
次の確定申告で「青色」を選ぶために、今準備できることは以下の3つです。
- 開業届の提出
- 青色申告承認申請書の提出
- マイナンバーカードの申請
経営状況を正しく把握する手段としても優れた青色確定申告に、ぜひチャレンジしてみましょう!