【公庫】自己資金要件が撤廃?創業融資の最新情報をご紹介

2024年4月、日本政策金融公庫(公庫)の創業融資制度から「自己資金に関する要件」が撤廃されました。
今まで創業融資の可否の判断材料の一つであった、自己資金を確認するために必要だった、通帳の確認は今後どうなるのでしょうか。
自己資金要件が撤廃された今、通帳での確認は無くなるのか、疑問ですよね。
今回は、自己資金に関してと、通帳の確認が創業融資の可否にどのような影響を与えるのかをご紹介します。
Contents
自己資金とは?

自己資金とは、事業を開業・運営するために自分で用意する資金のことです。
自己資金の必要性

事業を始める創業時は、自分が用意した資金でスタートすることが理想です。
ですが、事業の規模によっては「自己資金だけでは足りない」ということもあります。
その場合、金融機関に融資を申請することを検討しますよね。
金融機関には、これから創業したいと考えている事業者を対象にした「創業融資制度」があり、活用している創業者は多いでしょう。
「創業融資制度」では、創業希望者に対して「ある程度の自己資金の用意」が求められています。
自己資金の有無で、融資が実行される可能性が高くなりますので、自己資金をしっかり貯めておきましょう。
自己資金とみなされるお金の種類は?

どのようなお金が自己資金とみなされるのでしょうか。
下記が自己資金と認められる傾向のものです。
- 普通預金、定期預金や貯蓄型の保険などの預貯金
- 有価証券(株式や国債)
- 不動産(土地・建物)
- 自動車や貴金属などの動産
- 退職金など
金融機関が自己資金とみなしているものは、通帳に記載されているお金(振込履歴)の流れが確認できるものになります。
自己資金としてみなされないお金は?

金融機関が「自己資金とは認めない」というお金は、どのようなものになるのでしょうか。
下記が、金融機関から自己資金として認められない傾向のあるものです。
- 返済義務のあるお金
- 親族からの贈与
- 通帳に記載されていないタンス預金
- 一気に口座に入れられた大きな金額のもの
返済義務のあるお金とは、ローンなどの借入金のことです。
親族からの贈与や、コツコツ貯めたタンス預金は「お金の出所がわかれば」自己資金とみなされる傾向があります。
お金の流れが明確なものが自己資金として認められるので、大金を一気に口座に振り込む場合は、自己資金としてみなされない可能性が高くなりますので、注意が必要です。
ですので「事業を始めたい」と思ったら、貯金箱ではなく金融機関に預けておくことをおすすめします。
自己資金要件が撤廃され通帳の確認は不要になった?

上記でもご紹介しましたが、金融機関に融資を申請する時、自己資金の用意は必須。
金融機関が、自己資金を確認する方法は「自己資金を貯めている通帳の確認(金融機関に通帳を見せる)」です。
今まで、公庫の創業融資の申請時に必要だった通帳の確認が「自己資金要件が撤廃」されたため、自己資金の確認は不必要になりました。
ですが、ここで一つの疑問が残ります。
それは「通帳の確認はされるのか?」という点です。
結論ですが、自己資金要件が撤廃されても、通帳の確認はおこなわれます。
金融機関が創業融資の自己資金で重要視する2つのポイント

公庫の創業融資の自己資金要件は撤廃されましたが、融資申請する時に「自己資金の用意ができなくても大丈夫」という訳ではありません。
公庫を含む金融機関は、創業希望者が事前にしっかり計画を立てて、自己資金を用意することを重要視しています。
金融機関が、通帳を確認するポイントをこれからご紹介しますね。
金融機関が通帳から読み取るポイント(1)「どのように自己資金を貯めてきたのか」

金融機関が「自己資金」を確認をする時、創業希望者の通帳を見て判断します。
そこで疑問ですが、自己資金が入金されている通帳の判断ポイントとは、どこなのでしょうか。
それは、通帳に記帳されている入金の日付です。
入金された日付で「どれだけの時間をかけて準備をしてきたか」で判断しています。
「資金を貯めよう」と決めた時から、創業融資を申請するまでの間に、気持ちが変わることもあるかもしれません。
ですが、諦めずにコツコツと貯められている資金を見て、創業希望者の「創業に対する思いや覚悟」をくみ取ります。
自己資金が貯められた通帳を見て、金融機関は下記のように判断をします。
- 多少の困難に直面しても、跳ね返すだけの胆力や耐性がある
- これから始める事業が、成功する確率が高い
「創業するために、時間をかけてコツコツ自己資金を貯めていた」ということを、通帳を通して金融機関は知ることができるのです。
金融機関は、事業に対する思いが強い創業希望者に対して、融資の実行を前向きに検討します。
金融機関が通帳から読み取るポイント(2)どれだけの自己資金を貯めてきたのか

継続的に、通帳に入金されてきた自己資金は、創業希望者の事業にかける思いや覚悟を読み取りますが、それだけではありません。
金融機関の注目ポイントは「どれだけ自己資金を貯めてきたのか」です。
金融機関から融資を受けるためには、自己資金の準備が必要ですが、自己資金の金額によって、受けられる融資の金額が変わってきます。
創業融資時の、理想的な自己資金の金額の目安は「創業に必要な資金の3割以上分」と言われ、下記が自己資金額に対しての金融機関の融資額の目安です。
【自己資金額と、金融機関からの融資額の目安】
- 200万円…400~600万円
- 300万円…600~800万円
自己資金が多ければ多いほど、融資される金額も多くなり、資金が多いと事業計画に沿って事業を進められます。
計画通りに事業が進まなくても、資金があれば踏ん張ることもできますし、その結果、事業が軌道に乗り成功する確率も高くなるのです。
そのため、自己資金要件が撤廃されても、自己資金に関する確認は引き続き、徹底しておこなわれるでしょう。
通帳で見るのは自己資金だけではない 「 日ごろのお金の使い方」

金融機関が創業希望者の通帳を確認するのは、自己資金を貯める過程や金額だけではありません。
経験豊富な金融機関の担当者は、創業希望者の「日ごろのお金の使い方」を、通帳から読み取り、性格の傾向を把握することができるのです。
- カード会社への支払い内容…金遣いが荒いか
- 公共料金の支払い状況…お金に対しての姿勢(ルーズかどうか)
- 通帳の入金・出金…お金に対する考え方や、生活の姿勢
上記の内容を読み取り、事業計画書の内容や、面談時のヒアリングで「融資金の返済が可能なのか」を判断します。
通帳を見るだけで、普段のお金の使い方も知られてしまいますが、普段の姿も融資審査の対象になると思っておきましょう。
金融機関の考え方が分かる専門家にご相談を!

金融機関が融資審査の時に、チェックするポイントの把握ができれば、融資審査を有利に進められるような事業計画書を作成することができます。
融資申請の時の言葉選びで、積極的に取り組んでもらえるか、それとも消極的になるのか、大きく変わるでしょう。
金融機関が融資時にチェックするポイントや、積極的に融資に取り組んでもらえる事業計画書を作成する必要がありますが、どうすればいいのかわからないという状況ではないでしょうか。
そんな場合は、金融機関対策もしっかりおこなえる、的確なアドバイスをしてくれる専門家と一緒に進めていきましょう。