【事業継承】後継の個人資産、経営者保証解除に影響する?

事業を引き継ぐことになる後継者に対して、今まで取引をしていた金融機関は、関心を持っているのではないでしょうか。
後継者側も、金融機関に対して要望もあると思います。
その最たるものが「引き続きのお付き合いを希望するけれど、できれば経営者保証を外してほしい」ということではないでしょうか。
経営者保証を外すために「資産はありますから安心してください」とアピールすればいいかもしれないと思い、これからアピールを始めようと思っている人もいるかもしれません。
ですが、少し待ってくださいね。
金融機関に「個人資産がある」ということを伝えることは、メリットになるのでしょうか。
Contents
個人的な資産があると経営者保証は外せる?

事業を後継者に継承して事業を存続させることは、よくありますよね。
その時に「以前の経営者が金融機関から受けていた融資の借入も引き継ぐ」ということになるパターンが多い傾向があります。
もしも、後継者が個人資産を保有している場合、金融機関はどのような反応を見せるのでしょうか。
後継者の状況一例

事業を引き継ぐ後継者の状況を、一例でご紹介します。
- 親が経営者で、子供が役員
- 子供がいずれ事業を引き継ぐが、融資の借入や経営者保証も引き継ぐことになるかもしれない
- 子供が、個人資産で一定の預金や有価証券(上場株式)を保有
このようなケースの場合、金融機関はどのように考えるのでしょうか。
後継者の個人資産を金融機関はどのように判断する?

もしも事業を引き継ぐ後継者に個人資産がある場合、金融機関はどのように考えるのでしょうか。
その答えは、金融機関は「経営者保証をつけたまま、もしくは保証を付けてください」という返答をします。
なぜならば後継者に資産がある場合は、会社にもしもの場合があったとしても、経営者保証が付いていれば、金融機関は融資の返済金の回収が可能になりますよね。
そのため、後継者に個人資産があると金融機関が知った場合は「経営者保証は外さない」という方向で進める傾向があるようですので、注意しておきましょう。
金融機関に個人資産の有無を伝える必要はない

事業を継承すると、後継者は「金融機関とこれまでと同じように仲良く…」と考えていると思います。
そのため、後継者の個人的な資産を金融機関に伝えて「安心感」をアピールしてしまうかもしれません。
ですが、金融機関が注目するポイントは、事業を引き継いだ後の事業計画です。
- 事業に対する考え方や人柄
- 今後の事業計画など
金融機関の融資審査は、事業内容や将来性などを重要視していますが、経営者の人柄も重要視されています。
事業計画が素晴らしくても、経営者の人柄に問題がある場合、金融機関は融資の実行に躊躇する可能性があるのです。
事業を後継者に継承する時「経営者が変わることで、企業の体質が変化する可能性がある」という懸念を金融機関は持っています。
後継者の個人資産を、金融機関に伝える義務はありません。
個人資産の有無よりも、事業に対する考え方や今後の事業計画などを、しっかり伝えて金融機関と良い関係を作っていきましょう。
金融機関は上場株式を資産としてどう見る?

資産にはいろいろ種類がありますが、上場している株式を持っている場合、金融機関は「上場株式」を、どのような視点で見ているのでしょうか。
金融機関からの上場株式への評価は?

株式は、市場により変動しますよね。
その場合、上場している企業の株式を持っている場合は、金融機関はどのような評価を下すのか気になるのではないでしょうか。
金融機関は、上場株式を下記のように評価します。
- 前日の株価の70%
金融機関は「担保としての価値」と「自己資金の裏付け」をみます。
ただし、株式は日々変動するため「その時の金額(時価)」がベースになりますから、場合によっては「変動することがリスク」になり、安定資産とはみなされにくい傾向があるのです。
個人資産を金融機関に知らせるとリスクになる場合もある

上記でも「後継者に個人資産があることを、金融機関に伝える必要はない」とご紹介しました。
後継者の個人資産(上場株式)を持っていたとしても「安定資産とみなされない・変動するためリスクがある」と判断され「安定した保証能力がある」と判断されにくい傾向があります。
ですので、金融機関には、個人資産(上場株式を含む)があることを知らせない方がいいのです。
まとめ

事業を引き継ぐことは、経営者保証も引き継ぐというパターンが多いため、後継者からみれば「経営者保証付きの融資」というリスクも引き継ぐことになります。
場合によっては、資産を持っている後継者ほど、かえって経営者保証を求められやすいこともあるようです。
「資産がある=経営者保証解除に有利になる」とはかぎりません。
今回の上場株式のように、時価変動がある資産は、金融機関から「安定した保証能力」とは見なされにくいため「あえて申告しない」という判断もひとつの方法となります。
経営者保証を外すためには、金融機関との付き合い方や事業運営などさまざま方法がありますが、ケースバイケースです。
個人資産をオープンにするのではなく、専門家に相談をしながら「金融機関が知りたい情報」や「融資を有利に進めるために必要なもの」を、しっかり伝えていきましょう。
>>事業継承の際に、融資の経営者保証を外したい経営者はこちら!
