【融資】経営者保証解除に積極的な金融機関!地域別に紹介

融資を申請する前に「どの金融機関に融資を申請すればいいのか」を考えますよね。
- 事業を始める時に口座を開設した金融機関
- 所在地に近い金融機関
上記の選択肢もありますが、忘れてはいけない注目ポイントがあります。
それは「経営者保証に関するガイドライン」を積極的に取り入れているかどうかです。
Contents
「経営者保証に関するガイドライン」とは

経営者保証に関するガイドラインとは、中小企業庁と金融機関を監督している金融庁が、企業側の意見も聞きながら検討した結果まとめられたもので、金融機関は対象となる企業に対して「経営者保証なしの融資を受けられるように検討しましょう」という内容にないります。
経営者保証に関するガイドラインの適用対象は

経営者保証に関するガイドラインは、下記のすべての条件を満たす保証契約に適用されます。
- 主債務者が中小企業(個人事業主や中小企業の範囲を超える企業も対象)
- 保証人が個人で、主債務者である中小企業の経営者
- 主債務者(中小企業)と保証人(経営者)は、債権者の請求に応じて、負債の状況や財産状況などを適切に誠実に開示している
- 主債務者と保証人が反社会的勢力ではない、そのおそれも無いこと
まとめられたガイドラインには、法的な拘束力はありません。
ですが、各金融機関に対して尊重して遵守することが求められています。
中小企業に求められる経営状況とは

中小企業が下記のような経営状況である場合は、経営者保証なしでも融資を受けられる可能性が高くなりますので、確認をしておきましょう。
- 法人と経営者の関係の区分や明確に分離している
- 財務基盤が強化され信用力がアップ
- 経営が透明化
自社の経営状態を、金融機関からの情報開示要請にも慌てることなく、正確に状況を説明できるように把握しておくことが大切です。
もしも何らかの理由で事業計画に変更があった場合は、自発的に金融機関に報告をしておけば、さらに金融機関からの信用度もアップできるでしょう。
「経営者保証に関するガイドライン」が金融機関に求めるものとは?

「経営者保証に関するガイドライン」が金融機関に求めるものは、下記になります。
- 保証なしの融資
- 代替えできる融資の方法(経営者保証付き融資ではない融資の方法)
経営者保証なしの融資を受けられれば、企業側は今後の不安も減り、事業運営に全力を尽くすことができますよね。
すべての金融機関が「経営者保証不要の融資」に積極的に取り組んでいるわけではない

金融庁は、各金融機関に「経営者保証に関するガイドライン」を尊重して遵守するように求めていますが、法的な拘束力はありません。
そのため積極的にガイドラインを遵守しているという訳ではなく、金融機関によって「温度差がある」という現実があります。
【地域別の新規融資】経営者保証に依存しない融資件数の割合をご紹介

下記で、地方銀行と第二地方銀行の地域ごとの割合をご紹介します。
ただし、この割合は「新規のみ」を対象にしており「既存融資の保証解除」は含まれていません。
これから融資申請をおこないたいと考えている経営者にとって、参考になるのではないでしょうか。
(引用:2025年1月31日金融庁の「主要行等及び地域銀行の「経営者保証に関するガイドライン」の活用実績等について(個別行の実績及び取組方針の公表状況)」から)
【北海道】の「新規融資件数に占める経営者保証に依存しない融資件数」の割合
- 北洋銀行…72.9%
- 北海道銀行…71.9%
【東北地方】の「新規融資件数に占める経営者保証に依存しない融資件数」の割合
- 東邦銀行…73.5%
- 山形銀行…68.8%
- 仙台銀行…67%
- 七十七銀行…62.1%
- 岩手銀行…61.5%
- 北都銀行…60.1%
- 秋田銀行…58.9%
- きらやか銀行…56.8%
- 荘内銀行…55.9%
- 北日本銀行…55%
- 青森銀行…50.9%
- 大東銀行47.7%
- 福島銀行…40.5%
- 東北銀行…38.7%
- みちのく銀行…37.9%
【関東地方】の「新規融資件数に占める経営者保証に依存しない融資件数」の割合
- 東京スター銀行…93.2%
- 東日本銀行…81.7%
- 足利銀行…77.7%
- 横浜銀行…76.1%
- 群馬銀行…75.9%
- 常陽銀行…74.2%
- 栃木銀行…68.8%
- 埼玉りそな銀行…66.1%
- 武蔵野銀行…64.8%
- 東和銀行…64.5%
- きらぼし銀行…55.5%
- 千葉興業銀行…54.7%
- 千葉銀行…52.8%
- 神奈川銀行…50.4%
- 京葉銀行…44%
- 筑波銀行…38.3%
【中部地方】の「新規融資件数に占める経営者保証に依存しない融資件数」の割合
- 北國銀行…89.8%
- 福邦銀行…76.2%
- 八十二銀行…75.7%
- 福井銀行…73%
- 北陸銀行…69.1%
- 静岡銀行…68.5%
- 愛知銀行…61.5%
- 中京銀行…60.9%
- スルガ銀行…59.9%
- 十六銀行…57.6%
- 大垣共立銀行…57.6%
- 富山第一銀行…56.3%
- 名古屋銀行…55.8%
- 山梨中央銀行…54%
- 静岡中央銀行…53%
- 大光銀行…52.8%
- 長野銀行…46.6%
- 清水銀行…44.5%
- 富山銀行…41%
- 第四北越銀行…36.3%
【近畿地方】の「新規融資件数に占める経営者保証に依存しない融資件数」の割合
- 南都銀行…79.3%
- 池田泉州銀行…76.2%
- 京都銀行…76.1%
- 但馬銀行…73.2%
- 百五銀行…66.5%
- 紀陽銀行…63.8%
- みなと銀行…62.5%
- 関西みらい銀行…59.9%
- 滋賀銀行…51.5%
- 三十三銀行…34.5%
【中国地方】の「新規融資件数に占める経営者保証に依存しない融資件数」の割合
- 西京銀行…83.6%
- 山陰合同銀行…83.4%
- 山口銀行…80.4%
- もみじ銀行…75%
- 広島銀行…68.8%
- 鳥取銀行…66.7%
- 中国銀行…65.5%
- 島根銀行…60.1%
- トマト銀行…53.1%
【四国地方】の「新規融資件数に占める経営者保証に依存しない融資件数」の割合
- 四国銀行…68.9%
- 百十四銀行…63.7%
- 阿波銀行…63.5%
- 伊予銀行…63.3%
- 香川銀行…61.8%
- 高知銀行…55.7%
- 徳島大正銀行…49.4%
- 愛媛銀行…41.9%
【九州地方】の「新規融資件数に占める経営者保証に依存しない融資件数」の割合
- 琉球銀行…81.3%
- 北九州銀行…76.6%
- 熊本銀行…69.1%
- 鹿児島銀行…65.6%
- 南日本銀行…63.1%
- 沖縄銀行…62.5%
- 沖縄海邦銀行…57.3%
- 肥後銀行…55.6%
- 十八親和銀行…54%
- 西日本シティ銀行…53.7%
- 福岡銀行…53.4%
- 筑邦銀行…52.2%
- 長崎銀行…52.1%
- 宮崎太陽銀行…50.5%
- 佐賀銀行…50.2%
- 豊和銀行…45%
- 福岡中央銀行…44.8%
- 宮崎銀行…43.8%
- 佐賀共栄銀行…43.7%
- 大分銀行…41.1%
地域比較のまとめ

上記の一覧を、更に細かく各地域別の取り組みに対しての割合を見てみましょう。
<経営者保証に関するガイドラインの活用が50%未満の金融機関の割合>
- 北海道(0/2)…0%
- 東北(4/15)…26.6%
- 関東(2/16)…12.5%
- 中部(4/20)…20%
- 近畿(1/10)…10%
- 中国(0/9)…0%
- 四国(2/8)…25%
- 九州(5/20)…25%
()内の数字は、達成している金融機関の数と金融機関数です。
<経営者保証に関するガイドラインの活用が75%以上の金融機関の割合>
- 北海道(0/2)…0%
- 東北(1/15)…6.6%
- 関東(5/16)…31.2%
- 中部(3/20)…15%
- 近畿(3/10)…30%
- 中国(4/9)…44.4%
- 四国(0/8)…0%
- 九州(2/20)…20%
地域によって金融機関の数に違いがありますが、ガイドラインに対応している金融機関の地域差は下記になります。
- 保証に関するガイドラインを積極的に取り組んでいる割合の高い金融機関が多い地域…関東・近畿・中国
- 保証に関するガイドラインに対して、消極的と思われる金融機関が多い地域…東北・四国・九州
上記のように、地域や金融機関ごとに「保証に関するガイドライン」に対しての対応には大きな差があります。
全般的なまとめ

金融機関は「経営者保証に関するガイドライン」に対して、どの程度取り組んでいるのか、全体での割合を見てみましょう。
<経営者保証に関するガイドラインの活用実績状況>
- 東京スター銀行…93.2%
- 三十三銀行…34.5%
上記は、一番割合の高い銀行と、まだあまり熱心ではない(と思われる)金融機関です。
各金融機関により、経営者保証に関するガイドラインに対する取り組み状況には、バラつきがある。ということがわかります。
ですが、金融機関だけが「消極的」という訳ではなく、対応したくても「経営状態が不透明で…」という場合もあるかもしれませんので、ご注意くださいね。
各金融機関における「経営者保証に関する取り組み方針」

上記で、各金融機関の「経営者保証に関するガイドライン」の取り組みの割合をご紹介しました。
この割合をみれば、金融機関によって「経営者保証を必要としない融資」に対して、どれだけ前向きに取り組んでいるのかを読み取ることができます。
ガイドラインの割合が高ければ保証解除の可能性もある

もしも現在、融資を受けている金融機関の経営者保証に対する割合が高ければ、経営者保証付きから経営者保証無しの融資に切り替えてくれる可能性があります。
消極的な金融機関でも経営者保証を解除するために交渉を

融資を受けている金融機関が、経営者保証を解除することに消極的だとしても、交渉によって解除できる可能性があります。
その方法は下記です。
- 他の金融機関に「経営者保証無しの融資」への肩代わりは可能なのかを相談する
- 相談後、現在、融資を受けている金融機関に訪問して、他の金融機関に「融資の肩代わり」をしてもらうことを報告
この方法をおこなえば、経営者保証解除に対して消極的な金融機関でも、解除を検討し始める可能性があります。
金融機関は「肩代わり」を嫌う?

顧客が他の金融機関から、融資の肩代わりをしてもらうことは「融資金の回収が完了して、マイナスにならなかった」というプラスな面もあります。
ですが金融機関からすると「経営者保証を解除」することよりも「顧客」を失うことの方が痛手なのです。
もしも今後経営者が融資申請をおこなうとしたら、下記のどちらの金融機関に申請をすると思いますか。
- 肩代わりをしてくれた金融機関
- 既存融資の経営者保証の解除を見送った金融機関
おそらく「肩代わりをしてくれた金融機関」を選ぶ経営者は多いのではないでしょうか。
ですので「顧客を失うくらいならば…」と、経営者保証の解除を前向きに検討する可能性がありますので、まずは金融機関と交渉をしていきましょう。
まとめ

金融機関を監督する金融庁が取組をうながしている「経営者保証に関するガイドライン」は、法的な拘束力はありませんが、積極的な活用がうながされています。
もしも、利用したいと思う金融機関のガイドラインを活用している割合が低かったとしても、経営者保証無しでの融資の可能性は「0(ゼロ)」ということではありません。
割合が低くても、企業側にしっかりとした事業計画があれば、経営者保証無しでの融資が通る可能性もあります。
ですが、しっかりとした事業計画や融資申請のための書類の作成など、どのようにすればいいのか迷っている経営者も多いのではないでしょうか。
その場合、しっかりとした知識を持つ専門家に相談をしながら進めていくことをおすすめします。
お住まいの地域で融資を検討している金融機関が、経営者保証に関する取り組みがどのくらいなのかを見ながら、一緒に進めていきましょう。