【事業再生】M&A とは?失敗例や注意ポイントをご紹介!

事業を運営していると、会社の今後を考えて不安を感じてしまう経営者は多いのではないでしょうか。
従業員や身内に「後を継ぎたい」と言ってくれる人がいるならば安心です。
ですが、後継者がいない・資金不足で事業の見通しが立たない場合は、事業再生をおこなうための方法を考えなければなりません。
今回は、事業再生の方法の一つである「M&A」についてご紹介します。
Contents
「買いたい」と思う企業は、簡単に見つからないので注意!

M&Aで、事業再生がうまく進んだケースは、M&Aを実行する前に成功例として紹介されると思います。
ですが、M&Aを実行した全てのケースが成功している訳ではありません。
M&Aに失敗した事例をご紹介

一例ですが、過去にM&Aをおこなったために、破産してしまった企業があります。
- 2024年10月24日、元上場企業の船井電機が破産
- 連結会社を含めると社員2,000人が一斉解雇
- 破産の要因の一つが、買収した会社の「連帯保証人」となってしまったこと
上記の企業「船井電機」は、ビデオデッキや液晶テレビなどの製品を低価格帯で販売していたメーカーです。
近年は、業績が低下していたため、その打開策として「秀和ホールディングス」の傘下に入り、再生の切り札として「ミュゼプラチナム(脱毛サロン)」を、M&A(買収)しました。
船井電機はなぜ破産した?

船井電機が破産してしまった理由は、下記になります。
- ミュゼプラチナムを買収時に、連帯保証人になった
- ミュゼプラチナムは経営状態が悪く、広告費の未払いがあることがM&A後に発覚
- 連帯保証人になっていたため、ミュゼプラチナムの未払い広告費を船井電機が支払わなければならなくなった
- 船井電機の資金繰りが難しくなり破産
業績を回復させるためにM&Aをおこないましたが、買収先に大きな未払いがあったことを知らなかったために、破産というルートをたどりました。
船井電機がミュゼプラチナムを調べた時に、どこまで精密に調べていたのか、または粉飾された資料でデューデリジェンスされたのかは不明です。
結果を見れば、どう考えても「買うべき企業ではなかった」ということでしょう。
M&Aとは

M&Aとは「Mergers(合併) and Acquisitions(買収)」の略で、企業の合併と買収の事を指しています。
合併と買収のそれぞれの意味は下記です。
- 合併とは、2つ以上の企業が一つになる
- 買収とは、企業が他の会社(事業または事業の一部)を買うこと
M&Aは、事業を発展・成長させるために活用されることが多く、中小企業の場合は「事業継承」を目的として、おこなわれるケースが多々あります。
今後、小規模企業のM&Aは増加傾向になる

帝国データバンクの【全国「後継者不在率」動向調査(2023年)】という調査報告があります。
調査によると、後継者が「いない」または「未定」とした企業は全体の53.9%に上ったとのことです。
この調査はでのサンプル数は27万社ですが、日本全体の企業数は約360万社と言われています。
調査結果の割合を参考に計算すると、約190万社の企業は「後継者がいない・未定」ということになり、この中には、黒字の企業もあるかもしれません。
黒字の事業を存続させるために、誰かに継承を希望していても、親族や従業員内で継承が難しい場合は、M&Aで事業の継続を視野に入れるのではないでしょうか。
そのため、今後はM&Aが活発におこなわれるのではないかと思われます。
企業価値担保権制度の創設がM&Aを加速させる

2026年末までに「企業価値担保権制度」が創設されます。
この企業価値担保権制度は、M&Aを加速させる可能性がありますので、チェックしておきましょう。
企業価値担保権制度とは

企業価値担保権制度の内容は、下記です。
- 無形資産を含む事業全体を担保にできる制度
- 経営者保証の利用を制限できる
金融機関から融資を受けるためには、経営者が連帯保証人になる必要があったり、土地や建物などの有形の担保が必要なケースも多いですよね。
企業価値担保権制度は、その企業のノウハウや事業の一部を担保に出来ますから、企業に有形の資産が無くても活用が可能です。
企業価値担保権制度の活用をおすすめする経営者は?

企業価値担保権制度は、下記のパターンで悩んでいる経営者におすすめの制度です。
- 有形の担保になる資産が少ない創業したばかりの企業
- 経営者保証により事業継承が困難(経営者保証も引き継いでしまうため)
- 思い切った事業の展開を考えているが資金面がネックになっている
有形の資産がまだ無くても、事業の一部やノウハウを担保にすることが可能になりますので、事業を残したい・挑戦して事業を発展させたいと考えている経営者は、チェックしておきましょう。
簡単にM&Aの買い手になってはいけない

後継者が不在でも事業継続のために、黒字の会社の売却案件が今後増える可能性は高いと考えられます。
ですが、船井電機の例もありますので、M&Aを持ちかけられても、簡単に乗ることはおすすめしません。
M&Aをするときの注意ポイント

上記でご紹介した「船井電機」は、ミュゼプラチナムが大々的に打ち出していた広告費が未払いであったことを知らずに、M&Aを進めて失敗しました。
M&Aを問題なく進めるためにはどうすればいいのでしょうか。
- 精密にデューデリジェンスをおこなう
- 成約を急がない
- 経営者保証の扱いを確認する
買収を考えていると、良い面ばかりをアピールされますが、確認しておかないといけないポイントは必ずチェックしておきましょう。
M&Aは事業再生の手段の一つ

M&Aは、資金が豊富な企業による買収によって、赤字の企業が持っている事業のリソースをうまく活用して、業績をアップさせることが可能です。
そして、またM&Aで企業を売却する前に業績を回復させることができると、企業の価値を大幅に引き上げることができます。
まとめ

せっかく軌道に乗っている事業を「後継者がいない」という理由で「廃業」という選択肢は、本当にもったいないですよね。
ですが今後は、後継者不足が深刻化する可能性があるため、M&Aが増える可能性もあります。
廃業も選択肢の一つかもしれませんが、将来性のある事業は、できるだけ再生させ継続したいものですよね。
そのための手段として「M&Aを視野に入れる」という選択肢も視野に入れておきたいものです。
ただしスムーズに事業継承をおこない、事業を発展させるためには、M&Aを勧められるままにおこなうと、大きなリスクを背負ってしまう可能性があります。
正しい知識は、リスクを回避するだけではなく、事業を発展させてくれます。
そのため正しい知識を得る必要がありますが、事業を発展させることに集中している経営者は、自分たちの知識のみでM&Aをおこなうことは難しいのではないでしょうか。
事業再生を考え始めたら、的確なアドバイスをしてくれる専門家と一緒に、相談しながら進めていきましょう。