【融資】金融機関へリスケ依頼、交渉する時の注意点を紹介
融資金の返済は、避けて通れない道ですが、返済が難しいという状況もありますよね。
融資金の返済が遅れた場合、事業の立て直しを図ることは難しくなります。
「同額借換」と「リスケ(リスケジュール)」は、どちらも事業の立て直しを図り、軌道に乗せるために金銭的な猶予だけでなく、時間的な猶予も与えてくれます。
Contents
金融機関の考え方のポイントを押さえてリスケ依頼を!
事業の立て直しを図るためには、二つの方法があります。
一番のおすすめは「同額借換」ですが、金融機関が応じてくれない場合もあります。
そうなると、リスケ(リスケジュール)しか手段がありません。
リスケ交渉は、しっかり段取りを組んでおこなわないと、業績を回復させることが難しくなります。
リスケ依頼を有利に進めるためのセオリーをご紹介しますが、まずは同額借換とリスケについてご紹介します。
同額借換とは
既に受けている融資と、同じ金額の融資を申請して、既に受けている融資の返済をします。
融資金額は同じなので、新たな融資の返済開始の時期を遅らせることが可能です。
リスケ(リスケジュール)とは
リスケとは、金融機関に融資金の返済の猶予期間を貰うことです。
同額借換との違いは、下記になります。
- 経営改善計画書の提出
- 貸付条件が変更されるため、信用格付けが落ちる
返済の猶予期間中は、新規融資を受けることはほぼできません。
セオリー① 初リスケは元金返済ゼロが基本
リスケを交渉する時は、必ず「元本返済ゼロ(利息分のみの返済)」となるように交渉しましょう。
その理由は、返済にあてる現金があるならば、手元に置いておくほうがいいからです。
金融機関にリスケ申請をすると、リスケ期間中は、新規融資の申請をしても実行されることはほぼありません。
そのため、事業を立て直すために資金が必要になっても、融資を受けることができないので、資金繰りが厳しくなり、事業の立て直しが厳しくなります。
セオリー② 全行協調
融資を一つの金融機関から借りている場合は、問題ありません。
ですが複数の金融機関から融資を受けている場合は、ちょっと大変かもしれません。
なぜならば、全ての金融機関とのリスケ交渉が必要だからです。
リスケ交渉の順番は?
リスケ交渉をしていく金融機関には順番があり、融資額が多い金融機関から始めます。
金融機関にリスケ交渉をするときは下記の点を注意しましょう。
- 融資を受けている全ての金融機関を訪問
- 訪問する時は、1日で全ての金融機関を回る
- すべて同じ情報・要望を伝える
複数の金融機関から融資を受けている場合は、きちんとアポイントメントを取り、段取りを組んで訪問しましょう。
なぜ金融機関との交渉は同日でないといけない?
金融機関にリスケ申請に行く場合、1日では回りきれず、翌日にしてしまった場合はどうなるのでしょうか。
その場合、金融機関は下記のように考えるのです。
- 当行は他行と同様に扱われていない
融資金額に違いがあっても、融資を受けている限り、どこの金融機関も大切なパートナーです。
訪問する順番はともかくとして、日にちが遅れた場合は、事業者に対して良い感情を持たないでしょう。
そのように思われてしまったら、リスケ交渉に対して前向きな対応をしてくれなくなる可能性が高くなります。
セオリー③ 期間は1年を目指す
金融機関は、経営者がどんなに事業を頑張って立て直そうと、経営改善計画書を提出されても、事業が計画通りに進まないケースがあることを知っています。
そのためにリスケ申請をされた場合、条件を出される可能性が高いのです。
その条件として多いものが「返済の猶予期間」です。
金融機関によって返済の猶予期間は違う?
一般的に金融機関の猶予期間は「長くて1年」です。
金融機関によっては「長くても半年」という場合もありますから、注意しておきましょう。
事業の立て直しは半年で可能なのか?
実際のところ、事業の立て直しが半年でできる場合は、ほとんどありません。
リスケを申請して、改善計画を実行しても、かなりの期間が必要になることがほとんどです。
そのため、もしもリスケの猶予期間が半年の場合、半年ごとにリスケ交渉をしなければならない為、経営者は事業に専念することが難しくなります。
事業の立て直しは、長期的な視野が必要になりますから、リスケの猶予期間は、金融機関にとっての最長期間である「1年」で交渉していきましょう。
セオリー④ リスケ希望期日の1ヶ月前に「経営改善計画書」の提出
リスケを希望しても、金融機関はすぐにOKを出してくれるわけではありません。
金融機関のリスケ審査
金融機関のリスケ審査には、下記のような流れがあります。
- 金融機関の担当者に「リスケ」を依頼
- 担当者が「条件変更稟議書」を作成
- 金融機関の融資担当者の上司や審査する部署へ
- リスケの可否が審査される
リスケが可能でも、条件によっては交渉も必要になります。
その時間も視野に入れておきましょう。
金融機関に提出する書類「経営改善計画書」とは
経営改善計画書とは、今後どのように運営をして、事業を軌道に乗せていくかという計画を記載する書類の事です。
金融機関の担当者は、この経営改善計画書を元に「条件変更稟議書」を作成しますので、しっかり計画を立てて作りこんでいきましょう。
リスケはハードルが高い?
通常の融資審査は、将来性のある事業にしか融資は実行されません。
金融機関にとっても、融資金はとても大きな金額ですから、回収が難しいと判断される事業には融資はしないのです。
リスケを申請するケースは、業績が良くない事業者がほとんどでしょう。
そのためリスケ審査は、通常の融資審査よりも厳しくなります。
ですが、融資金の返済に猶予期間をもうけることで、事業を立て直すことができて融資金の回収ができるならば、金融機関にとってもメリットになるのです。
時間や金銭的な猶予があれば、立て直すことが可能だということを、経営改善計画書でアピールしていきましょう。
金融機関の考え方から逆算し、ポイントを押さえたリスケ交渉を!
同額借換ができない場合は、リスケの申請をするしか方法はありません。
ですがリスケ交渉は一歩間違えると、経営者にとって、条件が良くないものとなる場合や、取り返しのつかない事態におちいることもあります。
リスケ交渉や計画書の作成方法に迷ってしまう経営者も多いでしょう。
そんな場合は、しっかりと的確にアドバイスをしてくれる専門家と、一緒に進めていきましょう。