日本政策金融公庫の創業融資!法人設立なら残積ありでも可能?
すでに事業を始めている個人事業主が、新たな道を開拓したいと思うことはありますよね。
そこで問題なのが、個人事業主としてすでに創業融資を受けている場合です。
融資の残積が残っている場合、新たに融資を受けることができるのでしょうか。
Contents
創業融資とは
創業融資とは、新たに事業を始める人を対象にした融資です。
ここでは「日本政策金融公庫」がおこなっている、新創業融資制度をご紹介します。
新創業融資制度を受けることができる対象者
【対象者の要件】
- 新しく事業を始める人
- 事業を始めてから、納税申告を2期終えていない人
【自己資金の要件】
- 事業を始めてから、納税申告1期を終えていない状態で、創業のための資金の1/10以上の金額を自己資金でまかなえることを確認できること
※自己資金とは、事業に使用される予定の資金のこと
【自己資金の要件を満たすもの、とされる要件】
<今勤めている会社と同じ業種で事業を始める場合>
- 今勤めている会社に、6年以上継続して勤めている
- 今勤めている会社と同じ業種に、通算6年以上勤めている
担保や保証人はいるの?
民間の金融機関では、保証人や担保を求められますよね。
この新創業融資制度では、担保・保証人は原則不要です。
ただ法人の場合で、希望がある場合は、代表者が連帯保証人になることはできます。
代表者が連帯保証人になった場合、利率が0.1%低くなりますので、金利を下げたい場合は、連帯保証人も視野に入れておくと良いでしょう。
事例のご紹介
新しいビジネスを始める時に、どのような業種で事業を始めるか、悩むこともあるかと思います。
そこで、新創業融資制度を利用できるかどうかと悩みやすい事例をご紹介します。
個人事業主として事業を展開しているが、法人設立して新事業を立ち上げたい!
例として、融資を受けたいと思っている人の状況をご紹介します。
- 5年ほど美容事業を個人事業主として、営んでいる
- 個人事業主として1,800万円の融資残積がある(借りたばかりで返済は半分も済んでいない)
- この先飲食店を多店舖展開したい
- 初期費用(工事や物件)で1,600万円必要
- 法人設立して創業融資を考え中
- 自己資金で1,500万あるが、個人事業主としての借入金の残りも含む
上記の条件で、新創業融資制度は利用できるのでしょうか。
創業融資を受けることができる?
この場合「新事業を始める」ことがポイントで、創業融資を受けられる可能性があります。
今までの事業ではなく、別の業種での法人設立ならば「新たな事業」とみなされ、融資を受けることができるかもしれません。
日本政策金融公庫で1,000万円以上の創業融資は可能?
上記の事例では、実際に受けられるかというと、難しい場合もあります。
そこで必要なのが「自己資金」です。
自己資金の金額によって、1,000万円以上の融資を受けられるかが変わります。
この制度の「自己資金」の項目には、「創業のための資金の1/10以上の金額を自己資金でまかなえること」とあります。
つまり借りたい金額の1/10の金額を自己資金として用意できなければ、融資をうけることは難しいのです。
1,000万円の融資を受けたければ、最低でも100万円の自己資金が必要になります。
借入金は出資金には使えない?
上記の例で、問題になるのが下記のことです。
- 自己資金として1,500万あるが、個人事業主としての借入金の残りも含まれている
借入金を自己資金に回すことは、出資法違反にも該当しますし、そもそも融資審査の自己資金の内容確認のチェックに引っかかります。
疑いの目で見られると、どんなに事業計画が良くても、融資が受けられない可能性の方が高いのです。
打開策は事業計画書の見直し!
以前に借りた融資の残りは、自己資金に回せません。
融資を受けられるようにするためには、どうすればいいのでしょうか。
自己資金を改めて見直す
自己資金とは「通帳から確認できる、出どころが確かなお金」のことを指します。
【自己資金とみなされる例】
- 返済義務のない、贈与されたお金
- 退職金
- 資産売却
自己資金とは「返済義務のないお金」のことです。
借入金は、返済義務があるので、自己資金にはできません。
純粋な自己資金を用意しておきましょう。
事業計画書で創業融資を受ける
純粋な自己資金額を見直して、そこから融資可能額を考えて、事業計画の見直しをすると可能性があります。
事業計画は融資を受けるための審査でとても重要な役割をはたしてくれるので、大切な4つのポイントをご紹介しますね。
ポイント①日本政策金融公庫の「売上高の計算方法」を参考にする
根拠のある売上高を示すことは、とても大切です。
日本政策金融公庫には「売上高の計算方法」という資料が用意されています。
この資料をもとにして、売上予測を立てれば、認められやすい根拠のある売上計画が作れますよ。
ポイント②地域性や季節要因も考慮する
売上予測を立てる時は、地域のお祭りや、季節のイベントも視野に入れておきましょう。
地域のお祭りや季節ごとのイベントは、人が集まりやすいですよね。
お祭りの日程やイベントを考慮した売上予測を立てることで「考えられている売上計画」という評価をもらうことができます。
ポイント③業界の平均を把握
新たに違う業種で事業を始める時に、平均から大きく離れた売上計画を立ててしまうこともあります。
その場合「信ぴょう性がない」と疑われてしまうため、審査に通りにくくなります。
必ず業界の平均値を調べておきましょう。
ポイント④説得力のある返済計画を立てよう
根拠のある売上計画を立てたあとは、しっかりした返済計画を立てましょう。
金融機関は、返済能力が無いと判断した場合、融資をおこないません。
無理のない、説得力のある返済計画を、しっかり立てていきましょう。
融資を獲得したい!専門家のサポートも借りよう!
融資を成功させるためには、ただ書類を作成するだけでは難しいです。
ですが提出する書類や事業計画書の内容が運命を分けます。
しっかりとした専門家に相談をすることで、不安も解消されて、融資を受けることも可能になってきますよ。