【融資】金融機関から金利の引上げ交渉!4つの対策を紹介

事業を運営している経営者にとって、融資金の金利は気になりますよね。
経営者の側からすれば、できれば金利の引き上げは避けたいところです。
ですが日銀が金利を上げると、各金融機関も金利を上げる方向に動き出し、金利の引き上げ交渉を始める金融機関も少なくありません。
もしも金融機関から、金利の引き上げを交渉された場合、どうすればいいのでしょうか。
金利が引き上げられたら、月々の返済額も増えてしまいますから、資金繰りに頭を悩ませている経営者にとっては、頭の痛い問題です。
そもそも、なぜ日銀が金利を上げると、民間の金融機関まで金利を上げていくのでしょうか。
金融機関から、金利の引き上げ交渉をされた場合の対処法と合わせてご紹介します。
Contents
日銀が金利を上げると、なぜ民間の金融機関も金利を上げるの?

それぞれの金融機関には、金利の目安があり、その目安を金利の基準としています。
その基準は「短期プライムレート」です。
短期プライムレートとは

短期プライムレートとは、金融機関から信用の高い企業に対して「貸出期間が1年未満で貸し出す場合の最優遇金利」の事です。
主に、企業向けに提供されている短期間の融資に適応されますが、変動金利型の住宅ローンや自動車(マイカー)ローンにも適用されています。
この短期プライムレートは、日銀の金利の変動に左右され、日銀が金利を下げると、短期プライムレートも下がります。
短期プライムレートが下がると、金利が下がるため、金融機関に返済する金額も少なくなり、その分を事業の運転資金に回すことができるので、事業の運営だけでなく、社会経済も活発になる可能性が高くなるのです。
日銀の金利の変動は、短期プライムレートに影響を及ぼすので、チェックしておきましょう。
金融機関の金利の設定方法

短期プライムレートは金利の基準の目安になりますが、短期プライムレートの金利が、そのまま金利として適用されるわけではありません。
金融機関の金利の設定方法は「短期プライムレート(金利の基準)+〇%=金利」という式になります。
短期プライムレートから「〇%」が上乗せされたものが、金融機関が融資の時に定める金利です。
金融機関が融資の金利を決める方法

金融機関が、企業に対して融資をおこなうときの金利は、短期プライムレートに〇%を足しています。
では「〇%」の部分は、どうやって決まるのでしょうか。
金利を決めている要素は?

金融機関が金利を決めている要素をご紹介します。
下記がその要素です。
- 調達コスト
- 人件費や物件費・販売管理費などの経費
- 希望収益
- 貸し倒れのリスク(企業の格付けによる信用度)
金融機関は融資の金利を、企業の要素をみて決めています。
さらに上記の要素だけではなく「個別の要素」も考慮していますので、企業によって金利が違うのです。
金利は要素だけでは決まらない?

金利は、要素だけでなく、下記で紹介する「個別の要素」も加味されて決まります。
- 貸出期間
- 取引内容
- 他の金融機関との取引内容
貸出期間が長ければ金利は高くなりますし、預金の残高が多ければ金利は低くなります。
他の金融機関との取引があれば、金利が低くなる可能性も高いのです。
金融機関が貸出金利を上げるタイミングは?

金融機関が、貸出金利を引き上げるタイミングがあります。
- 日銀が金利を引き上げて、短期プライムレートが上がった
- 業績悪化で信用格付けが下がった
- 多額の預金が減少した
- 新規融資を実行
4番目の「新規融資をおこなう時」に関しては、下記で詳しくご紹介します。
日銀が金利を引き上げて、短期プライムレートが上がった

短期プライムレート連動型の融資で契約している場合、自動的に金利は上がります。
業績悪化で、信用格付けが下がった

業績悪化で信用格付けが下がった場合、貸し倒れのリスクが高まります。
貸し倒れとは、企業が融資金の返済ができなくなることです。
金融機関にとっては、融資金の回収ができなくなりますから、備えなければなりません。
その備えるための手段は、貸倒引当金(コスト)を金利に積み上げることです。
金融機関は、金利を引き上げることで、収益の確保をします。
多額の預金が減少した時

融資に関する金利は、下記の2つがあります。
- 表面金利…一般的な貸し出し金利
- 実効金利…借入をしている企業が「預金も」している場合、借り手が実際に負担する実質的な金利
金融機関にとって収益が高い金利は、実効金利です。
金融機関に、預金を多く預けていれば貸出金利は低くなり、預金が少なくなると実効金利も低くなります。
金融機関は、実効金利が低くなった場合、金利を引き上げるのです。
新規融資をおこなう時の金利交渉はどうする?

新規融資の時の金利の交渉は、金融機関にとって金利をアップする最適なタイミングです。
「この金利でないと新規融資は難しい」と、金融機関に言われた場合、経営者側はそれを受け入れざるを得ません。
ですが、少しでも金利は抑えたいと考えるでしょう。
新規融資の時もですが、他のケースにも有効な対策を4つご紹介します。
金利引上げ交渉の対応①「次の融資を受けられるように交渉に応じる」

今後も金融機関に融資を依頼する予定がある場合、かたくなな対応をすることは、おすすめしません。
金融機関と長いお付き合いを希望している場合、ある程度の妥協は必要です。
将来、資金が必要になった時に、金融機関から融資を断られてしまう可能性が生じます。
結果、資金不足で事業の継続が難しくなるケースになるかもしれません。
ですが、金融機関からの金利の引き上げ交渉に応じておくと、短期プライムレートが下がった時に、金利の引き下げ交渉ができる可能性も生まれます。
金利引上げ交渉の対応②「他の金融機関との融資取引を引き合いに出す」

もしも他の金融機関と融資取引があれば、金融機関に伝えてみましょう。
交渉の際に「○○銀行でも融資を受けていますが、そちらからは金利の引き上げのお話は出ていません」と伝えてみてください。
「他の金融機関にお世話になるので…」と、匂わせることで金利の引き上げを阻止することができるかもしれません。
例え阻止できなくても「先送り」とういう形で、現状維持ができるでしょう。
金利引上げ交渉の対応③「貸出期間を短くする」

融資期間が長くなれば、金利は高くなります。
ですので「期間の短い融資に切り替える」という手段もおすすめです。
ただし月々の返済金が増えるので、資金繰りが厳しくなる可能性があります。
金利引上げ交渉の対応④「預金額を増やす」

金利の引き上げ交渉の対策として「預金額を増やす」という方法もあります。
ここでの注目ポイントは「事業の預金だけでなく、経営者個人や家族分の預金も増やす」です。
他の金融機関に預金があるならば、融資を希望する金融機関に預金を移して、残高を増やせれば、金融機関は収益があがります。
それを見越して「実効金利が上がるので、今の金利を据え置きでお願いします」と交渉しましょう。
金融機関にとっても、悪い提案ではないので、希望が通る可能性がありますよ。
金融機関から金利の引上げ交渉があったら

融資を受けると、月々の返済金と共に金利の支払いもおこなわなければなりません。
金利はなるべく抑えたいですよね。
もしも金融機関から、金利の引き上げ交渉をされた場合に備えて、しっかりとした対策を練っていきましょう。
ですが、事業運営に集中している経営者にとって、金融機関への対応策を考えることは、時間的にも難しいと思います。
そんな場合は、貸出金利の引上げ対策のアドバイスをしてくれる専門家と一緒に進めることがおすすめです。
>>金利の引き上げ交渉を、成功させたい経営者はこちら!