【融資】金融機関と事業者、それぞれのリスケの考え方!

事業を運営していると、上手くいっている時もあれば、厳しい状況になることもあります。
金融機関から融資を受けていても、事業の運営が厳しくなり、融資の返済金を事業の運転資金にあてたいと考えるほど、せっぱ詰まった状況になれば、経営者は「リスケ(リスケジュール)」を視野に入れるでしょう。
Contents
リスケとは?

リスケとは「リスケジュール」の略で、金融機関から融資を受けている企業が、融資金の返済計画の見直しを打診する事です。
ただ金融機関にリスケを申請する時には、下記のようなさまざまな書類の用意も必要になります。
- 経営改善計画書(事業計画書)
- 資金繰り表
- 5カ年損益計画書
- 金融機関別取引明細書
この中で特に重要なのは「経営改善計画書(事業計画書)」です。
金融機関の求めるリスケと事業者が求めるリスケの違いを比較

ここで「金融機関が求めるリスケ」と「事業者(経営者)が求めるリスケ」に違いはあるのか確認してみましょう。
金融機関が求めるリスケとは?

金融機関が求めるリスケとは、下記になります。
- 企業が倒産してしまう前に、できるだけ早く融資金を回収
- 一回の返済金額が多額
- 5~8年という短期間の返済
金融機関は、企業に対して「必ず返済を完了すること」を前提に、融資をおこないます。
融資金の回収ができなくなる事態(企業の倒産)を避けるため、できるだけ早く回収することを希望しているのです。
事業者(経営者)が求めるリスケとは?

事業者(経営者)が金融機関に求めるリスケは、下記になります。
- 事業が存続できるように、無理の無い返済
- 返済は少額
- 15年~25年という長期の返済期間
経営者としては、事業を立て直すためには時間がかかることを考えても、月々の出費は減らしておきたいと考えていますよね。
利益が出始めれば、いざという時のために、貯蓄もしないといけません。
2回目以降のリスケが通る条件「経営改善計画の80%必達」

リスケは、通常半年もしくは長くても1年しか認めてもらえません。
そのため、半年もしくは1年ごとの交渉が必要です。
2回目以降の交渉は、初回のリスケ交渉よりもハードルが高くなります。
2回目以降のリスケの条件は「改善計画の80%以上達成すること」

金融機関は「前回提示されたリスケ交渉の条件(経営改善計画)の80%以上に到達していること」を経営者に求めています。
なぜ、事業改善計画の80%以上の達成を求めるのでしょうか。
それは、経営者の事業改善計画の立案能力を見ているからです。
経営者の立案能力とは

経営者の立案能力は、事業改善計画書の作成に関わります。
事業改善計画書の作成は、今後の事業の方向性を金融機関にしめす大切な書類です。
- 経営悪化の原因(現状分析)
- 改善計画(事業の課題)
- 今後の事業展開(行動・利益計画)
計画書は、経営者自身がどれだけ自社の現状を把握しているのかや、問題の解決方法を記載します。
金融機関は、事業改善計画書の内容を見て、経営者が問題を解決するための方法を考え、対策を実行できるかで、経営者の手腕をみて判断するのです。
リスケが2回目になると、初回に提出した事業改善計画が実行されていますから、目標の80%を達成できていれば「事業計画も順調に進んでいる」と、金融機関も判断をしてリスケの継続を検討するのです。
リスケ申請する時の注意ポイントを紹介

リスケに対する考え方は、金融機関と経営者という、それぞれの立場によって変わります。
リスケ交渉の注意点

経営者と金融機関は、リスケに求めることが違うことは上記でご紹介しました。
金融機関は、リスケを申請されても、できるだけ早めの返済を求めているため、下記のような展開を希望しています。
- 1年目から返済
- 5年目で通常の返済
事業がうまくいっていない状況を立て直すことは、時間がかかりますよね。
経営者の立場からすると、金融機関の理想をかなえることは、ほぼ不可能です。
リスケ交渉をなぜおこなうかを考える

「金融機関にリスケ交渉をする」ということは、月々の返済のやりくりが苦しく、財務状況はかなり悪化している状況でしょう。
月々の返済にお金を回すよりも、事業の運転資金にして状況を打破したいと考えているハズです。
ですが、金融機関が理想としている「5年で通常返済」ができる企業は、あまりありません。
事業の立て直しには、長い時間が必要で「短くても10年、長くても15年以上」と言われています。
しかも、リスケ中は金融機関からの追加融資もほぼ無いので、事業資金の確保は立て直して発生した利益しかないことになります。
金融機関にとっての理想の返済方法を頭に入れつつ、無理の無い返済計画を立てて実行できるように、金融機関も納得できる返済計画を考えることが大切です。
事業者が作成すべき1~5年目までの返済計画例

金融機関が理想とするリスケ計画ではなく、経営者が希望する具体的なリスケ計画をしっかり立てていきましょう。
リスケの理想、1~2年目は「返済0」

事業の立て直しを実行して、実際の利益を出していくためには、1~2年目は「返済金0」が理想です。
この時期は、事業の立て直しを始めたばかりで、利益が出るかどうかもわからない時期でもあります。
何か起こった時に対応できるように、資金の確保をしっかりしておかないといけない時期ですから、この時期に利益が出たとしても「返済にあてよう」と考えることはやめましょう。
リスケの理想、3~5年目は「少しずつ返済金を増やす」

3年目以降は少しずつでも返済をしていきましょう。
3年目も「返済金0」にしてしまうと、金融機関から「返す気はあるの?」と疑われてしまいます。
ですので、下記のように年ごとに金額を増やしていくように設定しましょう。
- 3年目…月額5万円
- 4年目…月額8万円
- 5年目…月額12万円
最初から返済金を多く設定してしまうと「いざという時の資金の確保」が難しくなりますので、注意しておきましょう。
金融機関が納得する理論武装を

金融機関が目指すリスケと、企業が希望するリスケ計画は、全く違います。
さらに、リスケを金融機関に申請するためには、実際に立て直せる具体的な計画が必要です。
事業を立て直すための計画を考えることは、経営者だけでは難しいこともありますよね。
そして事業計画だけではなく、金融機関に対する「リスケ申請対策」も考える必要もあります。
リスケは、事業の立て直しをおこなうためには、絶対に失敗してはならない重要なものです。
事業をおこなうために重要だからこそ、計画書の作成やリスケ対策に、不安を感じる経営者もいるでしょう。
そのような不安を取り除くためには、知識を持つ専門家のアドバイスを受けて、しっかりとした計画を立てていきましょう。