社会保険料の滞納!金融機関へ融資申請は通る?詳しく解説
税金を滞納していると、金融機関は融資をしてくれません。
ですが「社会保険料を滞納している」場合は、融資をしてくれるのでしょうか。
Contents
社会保険料を滞納している事業者は融資をしてもらえない
社会保険料を滞納している事業者は「倒産の可能性が高い」と判断されるため、金融機関に融資を申請しても、受けることはできません。
税金とは
税金とは、国や地方に収める税金の事です。
- 国税…消費税、所得税、相続税、法人税、贈与税など
- 地方税(都道府県税、市町村税)…自動車税、軽自動車税、固定資産税など
他にもいろいろな税があります。
社会保険料とは
社会保険料とは、どのような保険の料金なのでしょうか。
- 厚生年金保険…会社に所属している人が原則的に加入
- 健康保険…会社に所属し一定の条件を満たしている人が加入
- 介護保険…40歳以上で加入(介護が必要と診断された場合、介護保険サービスを利用できる)
- 雇用保険…失業や休業した時に給付される
- 労災保険…雇用主が全額負担
会社で雇用される従業員が、条件を満たせば加入できる社会保険制度の料金です。
保険によって負担率は変わりますが、それぞれの保険料は、従業員と企業側が約半分ずつ負担して支払っています。
社会保険料の納付は事業者がおこなう
企業は、従業員分と企業側の負担分を合わせて、納付する義務があります。
納付することを忘れてしまった場合は、督促状を受け取り、期限までに支払えばいいのですが、「手持ちが少ない」や「資金繰りが厳しい」などの理由で納付していない場合は、延滞金がかかります。
社保料を滞納していても融資を受けることができた時代はあった
とても昔の話ですが、社会保険料を滞納していても、金融機関が融資を実行していた時代もありました。
過去の事例
一昔前の金融機関では、税金の納税が確認された場合、社会保険料の納入証明の徴求をせずに融資を実行していたそうです。
その理由は「納税していた事業者は、社会保険料を滞納していたことが、ほとんど無かった」から。
金融機関は「税金を払っているから、社会保険料も払っているだろう」と考え、社会保険料の納入証明を確認せず、融資を実行していた過去があります。
現在は社会保険料の滞納があると融資は実行されない
現在の金融機関は、融資申請の時に「納税証明書」の提出を必要としています。
納税証明書を見れば「納税しているか」の確認が可能です。
もしも、税金を滞納していた場合、融資は実行されません。
その理由は、税金には「先取特権」があり、滞納してさらに延滞すると「差押さえ」を受ける可能性が高くなるからです。
税金の「先取特権」には優先順位があり、下記の順で差押えが始まります。
- 国税
- 地方税
- 社会保険料
金融機関の融資金の回収は、社会保険料の次におこなわれ、その時にはすでに融資金も差し押さえられてしまい、金融機関へ返済する資金が無くなり、回収不可になるのです。
そのため、税金や社会保険料を滞納している事業者には、金融機関は融資を実行することはありません。
社保倒産とは
社保倒産とは、社会保険料の支払いが厳しい経営状況で、支払いを滞納してしまった結果、年金事務所からの取り立てが厳しく、滞納金の支払いが困難になり、預貯金や財産が「差押さえ」られて、倒産するケースの事です。
近年では、新型コロナウイルスにより、経営が悪化し社会保険料の納付を猶予してもらう事業者も多くなっていました。
ですが猶予期間が終わると、年金事務所からの滞納金の取り立てが厳しくなり、支払いができない場合、差し押さえを受けるケースが増えています。
事業の立て直しをはかっている時に、滞納金の返済を迫られても、返済に回す資金が無い場合が多いでしょう。
滞納金の返済ができない場合、年金事務所から資産の差押さえを受けてしまい、資金繰りが更に悪化して倒産にいたるのです。
社会保険料の滞納者に金融機関が融資をしない理由
金融機関の多くは、社会保険料を滞納している企業に、融資を実行しません。
その理由は、2つあります。
- 社保倒産のリスクが高いと判断される
- 差押さえをされることで「期限の利益」が喪失する
社保倒産については、上記でご紹介しました。
期限の利益とは
期限の利益とは、事業者が融資を受ける時に生じる利益の事です。
金融機関は、事業者と融資契約を結ぶことで、返済期限を定めます。
この契約によって、金融機関は返済期限を早めることができません。
事業者にとっては、返済期間中は、返済に猶予が生まれますよね。
この返済猶予を「利益」とみなされ、期限の利益と呼ばれているのです。
期限の利益の喪失とは
「期限の利益」は、事業者の返済猶予です。
ですが「期限の利益が喪失」すると、事業者はこの返済猶予が無くなり、金融機関は事業者に対して、融資金の一括返済を求める傾向が多いのです。
- 契約通りに返済がされない
- 差押えなど
上記が、期限の利益が喪失するケースです。
期限の利益の損失は、融資を実行しない理由の一つ
社会保険料の滞納で、年金事務所から「差押え」をされてしまうと、金融機関は「期限の利益が喪失した」と判断します。
そのため金融機関は事業者に、融資金の一括返済を求めるのです。
金融機関は、融資金をきちんと返済できる事業者に対して、融資を実行します。
多額の社会保険料を滞納している事業者は、差押えのリスクがあるため、今後の融資はおこなわれない可能性が高いのです。
社会保険料の納入状況を確認できる書類
社会保険料を、きちんと納めているかの確認ができる書類があります。
それは下記の2種類の書類です。
- 社会保険料納入証明書
- 社会保険料納入確認書
事業主が申請して、発行されます。
金融機関に融資の申請を検討している場合は、提出しないといけませんので申請して確認してみましょう。
融資の可否、金融機関の判断基準は?
金融機関から融資を受けたいと思っても「自分たちは、融資審査よりも前に、門前払いされる可能性があるのではないか」と、不安に思う経営者はいるかもしれません。
申請をする前に、融資が通らない判断基準があるならば知りたいですよね。
融資を受けられるかどうかの、判断基準は下記の3つになります。
- 信用情報…傷がついていないか
- 税金…滞納してないか
- 社会保険料…多額の滞納が無いか(年商の10%以上は厳しい)
この中の1つでも該当した場合、融資を受けることはほぼ不可だと思った方がいいでしょう。
全く該当していない場合は、融資が実行される可能性が高い企業ということになりますので、しっかりとした事業計画書を作成しましょう。
融資の可否の判断材料を知ろう
融資の申請が、通るかどうかの心配はつきものですが、申請前の段階で申請しても問題ないのかを知ることはできます。
上記で紹介した「金融機関の判断基準」を知っていれば、融資申請の前に対策をとることも可能です。
もしも税金や社会保険料の支払いが、厳しくなる可能性があると感じた場合は、早めに解決できるように専門家と一緒に、事業計画の見直しをしていきましょう。
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