法人口座の開設!金融機関の審査は厳しい?段取りをご紹介

法人口座の開設の審査が厳しくなっています。
そのため、これから事業を始めようとしている創業者にとっては、とても深刻な問題ではないでしょうか。
ですが、しっかり事業を運営している真面目な創業者の場合は、法人口座を開設する方法はあります。
金融機関から信用を得ることで、法人口座の開設も可能です。
なぜ口座開設が厳格化した?

近年、創業者・起業家が「金融機関の口座が開設できない」という深刻な問題を抱えています。
なぜ金融機関の口座の開設ができないのでしょうか。
それは起業家を装った犯罪が発生したからです。
起業家を装った犯罪グループの手口とは?

新聞記事によると、下記のような犯罪がおこなわれたようです。
- 700億円の犯罪による収益が、実体のない約4,000もの法人口座を使用して悪用
- 金融機関での法人口座開設の指南書が、犯罪グループに存在
犯罪グループは指南書に従い、金融機関で法人口座を開設していました。
犯罪グループは、法人口座を開設するだけでなく、最大400万円で口座の売買をされていたケースもあります。
そのため金融機関は、下記の対処法も実施しました。
- 口座の不正利用が発覚したため、利用停止や強制解約の処置を実施
- 利用停止・強制解約となった口座の数は、全国で8万1,367件
犯罪グループに法人口座が開設・活用されたため、金融機関は法人口座の開設審査を厳しくせざるを得なかったのです。
なぜ法人口座が犯罪グループに使用された?

なぜ法人口座は犯罪グループに使用されてしまったのでしょうか。
その理由は下記になります。
- 法人口座を使用すると、一般の人は信用しやすい
- 法人口座は個人口座と比べると、扱う金額が多い
例えば、一般人に対して「この口座に振り込んで下さい」と連絡した時、口座が個人名義だったら「ここに振り込んで大丈夫なのだろうか」と不信感を与えてしまいますよね。
ですが口座が企業名だと、不信感はそこまで感じません。
そのような心理を読み取り、法人口座は犯罪に利用されていたのです。
かつての法人口座開設をする時の金融機関の調査方法

昔から都市銀行や地方銀行での法人口座開設は、難しいと言われていますが、地域密着型の下記の金融機関での法人口座の開設の審査は、少しゆるめな傾向がありました。
- 第二地方銀行
- 信用金庫
- 信用組合
現状はどうなのでしょうか。
地方密着型金融機関の法人開設は厳しくなった?

2021年ごろから、地方密着型の金融機関の法人口座の開設は、ハードルが高くなりはじめ、現在(2024年)は新設された法人の口座開設は難しくなっています。
その理由は上記でご紹介しましたが、犯罪グループが法人口座開設の「指南書」を作成したからです。
金融機関の法人口座開設のための「指南書」とは?

犯罪グループが作成していた「法人口座開設審査の指南書」とはどのようなものだったのでしょうか。
下記が、その内容になります。
- 確認が難しい実態のない法人を登記して設立(情報技術(IT)関連やコンサルタントなど)
- ネット銀行や自宅の近くの金融機関で口座開設
- 架空の事業内容を覚えて、金融機関の質問に答える
自宅近くの金融機関で、法人口座を開設する理由は「自宅に近いから・事業内容が地元密着のため」と答えるためです。
必要な書類がそろっていて、対面の調査で受け答えが自然だった場合、不正行為だと見抜くことは難しいのではないでしょうか。
法人口座の開設方法は?

法人口座を開設する方法をご紹介します。
金融機関は、法人口座の開設を申請してきた法人(企業)に関して、下記の内容を調べて吟味しています。
- 法人の名称
- 本店の所在地
- 取引目的
- 事業内容
- 実質的な経営者
- ホームページの内容
- 現地に訪問して対面する
これらの事を調べ「事業を実際に運営しているか・実態があるか」を確認しています。
「事業実態がある」と明確に確認できた場合、法人口座の開設が可能になっていました。
真面目な事業者が口座開設する方法はある?

犯罪グループたちが法人口座を不正に開設したため、まじめな創業者の口座開設が難しくなりました。
真面目な創業者が、法人口座を開設する方法をご紹介します。
(1)地元の金融機関との取引が長年継続している個人が、法人を設立する場合

金融機関の近隣に長い間居住していて、長いお付き合いをしている個人で、自宅の近くで法人を設立する場合は、実態の把握がしやすいので、法人口座は作りやすい傾向です。
ですが、注意点があります。
それは、普通預金だけのお取引ではなく、下記のような継続的な預金取引が必要です。
- 定期預金
- 定期積立
- 投資信託
- 保険など
普通預金の、継続的な取引だけでは、実態の把握が難しいという理由があるからです。
(2)定期積金をはじめて、継続的に集金に来てもらう

金融機関には、普通預金だけでなく、さまざまな預金商品があります。
その中の一つ「定期積立」は「毎月同じ日に同じ金額を貯めていく」という商品で、金融機関の担当者が、契約者の自宅まで集金に来てくれるシステムです。
毎月、担当者が集金に来るため、金融機関は、契約者の人となりだけでなく実態を含めて、時間をかけて知ることができます。
そのため、法人口座を開設するまでに時間はかかりますが、かなり効果のある方法です。
(3)日本政策金融公庫で創業融資を申し込み、可決後、近隣の金融機関で口座開設申請

すぐに創業を考えているならば、日本政策金融公庫(公庫)に創業融資を申請しましょう。
そして融資申請が通った後に、近隣の金融機関に法人口座の開設を申請すれば、法人口座の開設がとてもしやすくなります。
- 事業の実態は公庫が調査している
- 反社会勢力ではないという確認も公庫がしている
公庫が融資審査をおこなっていますので、金融機関が調べないといけないことは、既に公庫が確認済みです。
そのため信用金庫や信用組合ならば、口座開設ができる可能性も高くなるでしょう。
(4)口座開設をしたい金融機関と、仲の良い取引先に紹介してもらう

金融機関は、さまざまな企業との取引がありますが、その中でも「重要な取引先」があります。
重要取引先とは、下記のような企業のことです。
- 多額の融資をしている
- 多額の預金取引をしている
- 手数料を稼がせてくれる
金融機関にとって、大きな利益を与えてくれる企業は、今後も良い関係を築きたいと考えているので、とても慎重に接しています。
そのような重要な取引先から「知り合いの法人口座を開設してほしい」と希望が出されると、金融機関は前向きに検討してくれる可能性が高まります。
金融機関での法人口座の開設は今後も厳しくなる

金融機関の法人口座は、過去、犯罪に使用されてしまっていたため、新たに法人口座を作りたいと思っていても、審査も厳しくなったため、簡単に作ることができません。
まじめにこれから起業を考えている人にとっては、法人口座の開設が難しくなると、運転資金の管理がとても大変になり困ってしまいますよね。
ですが、時間はかかりますが、法人口座を開設する方法はありますので、専門家のアドバイスを受けながら、自分たちに合った方法で進めていきましょう。