金融機関で合同会社の法人口座開設したい!なぜ断られる?
近年、金融機関では、法人・個人ともに「口座がなかなか作れない」ということがあります。
それは、社会経済を円滑に回すために必要なことではあるのですが、これから起業して口座を開設しようと考えている事業者にとっては、死活問題ですよね。
Contents
合同会社だけではない?個人口座も開設のハードルが上がっている!
近年「合同会社の口座開設」を断る金融機関は増加しています。
また合同会社だけではなく、個人口座の開設も難しくなっているのです。
これから、その理由をご紹介します。
合同会社とは
合同会社とは、2006年に施行された「会社法」で導入された、新しい会社の形態です。
合同会社は、「出資した人が経営者になる」という大きな特徴があります。
株式会社は、出資者(株主)と経営者は別々の人で、「出資者は、経営者に企業の運営をお任せします」というスタンスです。
合同会社は「出資した人が経営者になり事業をおこなう」ということですので、ここが大きな違いと言えるでしょう。
合同会社のメリット
合同会社は、株式会社と比べて下記のようなメリットがあります。
- 設立費用が株式会社の約半分
- 株式会社の役員の任期が2年に対して、合同会社は役員の任期は決められてない
- 経営の自由度が高い
そして、合同会社は「法人」ですので、個人事業主よりも「経費として活用できる範囲が広い」というメリットもあります。
合同会社のデメリット
これから事業を始めようと思う経営者から見れば、合同会社は、株式会社よりも設立の費用もリーズナブルです。
ですが合同会社は、下記のようなデメリットもあります。
- 株式市場に上場できない
- 株式を発行していないので、資金調達方法に制限がある
合同会社にはデメリットもありますが、「これから事業を始めて、いずれ大きくしたい」という場合は、まずは合同会社を設立して、あとから株式会社に組織変更という方法もあります。
合同会社の口座開設が難しい理由
合同会社は、株式会社とは違う会社形態ですが「法人」ということには変わりません。
ですが「法人」であるために、金融機関の口座開設が難しくなってしまうのです。
①金融庁からの指導の一つ「口座の悪用防止」
各金融機関や業界・団体は、反社会的勢力との関係を排除するための取り組みを推進しています。
そのために「反社会的勢力とのかかわりを未然に防ぎ、関係が判明した場合、取引を解消する」ことにつとめています。
その金融機関の働きを「金融庁」が監督しているのです。
もしも、開設した口座を反社会的勢力に悪用されていることが判明すれば、金融庁から金融機関へ指導が入ります。
そのため金融機関は、「設立しやすい法人」である合同会社の口座の開設に慎重になるのです。
②反社会的勢力に利用されやすい
事業を始める時には、事業の運営資金を預けるために、金融機関で「法人口座」を開設しますよね。
反社会的な勢力は「法人口座を利用したがる」という傾向があります。
そして「合同会社は設立しやすい」と、合同会社のメリットをご紹介しました。
金融機関は、下記のように考えてしまうのです。
- 簡単に設立しやすい合同会社
- 法人口座を利用したい反社会的勢力
反社会的勢力の立場からみれば、合同会社は株式会社の設立よりも敷居が低いので、「信用度の高い法人口座を入手しやすい」と考えている可能性が高いのです。
そのため、合同会社の法人口座の開設の時には、とても慎重な調査が必要になります。
ですが金融機関は「時間や手間のかかる調査はしない」という選択肢を取り、怪しいと思う場合は「最初から口座開設を断る」というケースになるのです。
③金融機関の強い横並び意識
金融機関に対する金融庁の指導は、厳しくなっています。
各金融機関は、指導を受けないように「他の金融機関の対策に習おう」と横並びをする傾向があります。
他の金融機関の打ち出した対策の効果が高いことがわかれば、すぐにその対策を取り入れるので、どんどん合同会社の法人口座の開設が厳しくなっていくのです。
個人口座の開設のハードルが上がっている理由
以前は個人の口座開設は、法人口座の開設よりも簡単でした。
ですが、最近は個人の口座開設も厳しくなっています。
なぜ個人口座開設が厳しいの?
理由として、個人の口座も反社会的勢力が振込先として利用することがあるからです。
以前は「マネーロンダリング」に関するもの以外に対してのチェックはしていませんでした。
「法人の口座のチェックよりも、個人口座の開設はチェックがゆるかった」ため、下記のケースが増えています。
- 事情のある人が、反社会的勢力からの依頼で個人口座を作る
- 通帳・印鑑・カードの売買がおこなわれる
そのため、金融機関も、個人口座開設の時に、細かい質問や確認をして、個人に対しても調査をするようになったのです。
マネーロンダリングとは
マネーロンダリングとは「資金洗浄」と呼ばれるもので、犯罪に使用されたお金の出どころ(流れ)を、わからなくすることです。
お金の流れがわからなくなると、捜査機関の調査に支障をきたします。
マネーロンダリングされたお金は、犯罪組織や反社会的勢力の活動の資金源となる可能性が高いので、金融機関も慎重に調査する必要があるのです。
「自宅が金融機関に近い」だけでは口座開設してもらえない
昔から「口座開設は、自宅から近い金融機関を利用しよう」と言われていました。
なぜ「口座開設は自宅近くの金融機関」と言われていたの?
自宅から遠い金融機関では、下記のような不都合があります。
- いざという時すぐに銀行に行けない
- コンビニのATMで不要な手数料を払わないといけなくなる
自宅から金融機関が近いと、リスクは回避できます。
ですが、今後は「自宅から近い」という理由だけでは、口座開設は難しくなるかもしれません。
口座開設に必要なものは?
金融機関の口座を開設するために必要なものは、どのようなものなのでしょうか。
それは下記の2点です。
- 「この金融機関で口座開設をする必要がある」という明確な理由
- 理由を裏付ける資料
一例ですが「給与振り込み口座作成を勤務先からお願いされた」という場合、必要になる資料は下記になります。
- 勤務先の「就業証明書」
- 勤務先の業務内容や、勤務時間のわかる「勤務実態」など
この資料で「実際にその会社に勤務している」という証明ができます。
- 法人や個人事業主の場合は「事業実態」
- 個人の場合は「勤務実態」
これらを証明できるものを用意しましょう。
金融機関の変化に対応していこう
今までは「口座開設のときに、そんな細かいことは言われなかった」と金融機関に文句を言っても「ルールが変わったのです」と返されるだけでしょう。
時代の変化にあわせて、金融機関は新しいルールを導入しています。
生活する上で金融機関とのお付き合いは、切っても切り離せないものです。
例え、融資を考えていなくても、事業を立ち上げる時には、金融機関の口座開設は必須になります。
事業を始める「最初の一歩」でつまずかないように、しっかりとアドバイスをしてくれる専門家と進めていきましょう。
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